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学力調査の結果を指導改善にどう活かすか?
「学力プロフィール」分析による改善の方法
~ベネッセ教育総研「学力向上のための基本調査」(注)より~
自治体による学力調査が広がっている。先の中教審答申では、「確かな学力」の定義を「知識や技能に加え、自分で課題を見つけ、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力」とし、知識・理解に偏らず、学力を多面的にとらえ、伸ばしていくことが必要だとしている。ここでは、ベネッセで実施した調査をもとに、学力調査の結果をどう指導改善につなげていけばよいのか、一例を挙げて紹介する。
Aタイプ バランスタイプ
Bタイプ 「知識・理解」が高いタイプ
Cタイプ 「関心・意欲」が高いタイプ
わが校はどのタイプに近い?
「学力向上のための基本調査」では、「学びの基礎力」という新しい概念を導入し、「生きる力」「教科学力」の3つを総合して学力をとらえている。「学びの基礎力」「生きる力」はアンケートによる自己評価。
*上の学力プロフィール(レーダーチャート)は、調査結果を参考に、学校集団としての典型的なタイプを3つに分類し、ベネッセ教育総研で作成した。
詳しくは、「学力向上のための基本調査2003」(速報版)を参照
注 「学力向上のための基本調査」
目的…児童・生徒の学力を「学びの基礎力」「生きる力」「教科学力」の3つに分類し、3つの力の関係性を探り、「総合学力」のモデル検証を行う。  調査対象…全国23の小学校(5年生1,707人、教師56人)、16の中学校(2年生2,023人、教師71人)  調査時期…2003年1~2月  調査方法…学校通しによる自記式調査
「学力プロフィール」の分析に基づく指導改善
 「学力プロフィール」は学力診断結果を観点別にレーダーチャートに示したもの。子どもや地域の実態と教師の指導のあり方によって、どの部分が強く、どの部分が弱いかが決まる。したがって、すべての学校の「学力プロフィール」が同一になることはない。
 学校の弱みを明らかにして、独自の学力向上プランを策定することが求められる。
 また、結果の信頼性を高めるために、全体平均や他校との比較は必要だが、基本は各校がどの領域を重点的に取り組んできたのかをもとに、分析・考察する必要がある。
指導改善に向けたステップ
~Bタイプの場合~
※ここでは、教科学力が高く、学びの基礎力などが相対的に低い学力集団特性をもつBタイプを例に考えていく。

ステップ1 実態データを視覚化し、課題を共有しやすくする
 調査結果を学年や学級ごとに集計したものを、レーダーチャートのような形にして視覚化するとよい。だれもが理解しやすくすることで、集団としてどの領域が強いのか、また、どの力が弱いのかを共有しやすくする。
 その際、教科の知識・理解だけでなく、生徒の力を多面的にとらえることができるように工夫する。

ステップ2 学校目標に照らした課題の発見
《資質能力のバランスの視点》
 Bタイプの場合、教科の「知識・理解」では高い成果が見られるが、「関心・意欲・態度」の観点では全体平均を下回っている。また、「学びの基礎力」「生きる力」のスコアも低調。全体として、「確かな学力」がバランスよく身についているとはいえない。
《ズレの確認》
 Bタイプの場合、「教科の知識・理解」力は確かに高いが、「関心・意欲・態度」や「学びの基礎力」のなかの「学びに向かう力」の子どもの自己評価は全体平均と比べて低い。学力向上に向けての実践と、教師側の本来のねらいや期待とでズレが生じている可能性がある。

ステップ3 課題解決への方針づくり
 ステップ2で確認した課題を、具体的にどのような手だてで解決していくのかを検討する。例えば、Bタイプの場合、教科の関心・意欲や学びに向かう力に課題があることを受け、自己成長力を育成するための「キャリア教育」の要素を「総合的な学習の時間」のなかに導入するなどが考えられる。

●このコーナーでは、学力調査をもとにした指導改善のモデルについて紹介した。次ページからの特集では、学校の課題を、客観的なデータや外部の評価をもとに発見し、その課題をどのように指導の改善につなげていけばよいのかを考えていく。
 
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