●1年時 工場見学を柱とした職場調査
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1年生では、「総合的な学習の時間」を使って、働くとはどういうことなのかを感じ取る工場見学が柱だ。実際に見学に行く前に進路学習の目的をしっかり持ち、身近な働く人々から聞いた働くときの思いを発表し合う時間を設けている。
「行かされた、見てきたで終わってしまわないように、準備を丁寧にします。自分で質問を考えて、こういうことをきいてきたんだという意識を持てることが大切です」と話すのは、教務の岸田修先生。
自分の将来の夢についても考えさせる。自分の個性を見つめて、夢を実現するためには、具体的にどんなことをしなければならないのかについて調べてみる。
「『メジャーリーガーになるためには英語も勉強しないとあかんでえ』と話を持っていくのですが(笑)、だからといって英語を頑張るまでにはなかなかなりませんね。ここでは、自分の夢を具体的に見つめさせることと、調べ方を学ぶことが目的です」 |
●2年時 働くことの意義を学ぶ職場体験
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2年生の進路指導の中心になるのは職場体験。体験させてくれる職場への依頼も生徒自身が行う。仕事は、まず、整理・整頓、掃除。その後は、中学生でもできる業務に取り組む。昨年度までは1日だったのだが、もっとじっくり話を聞きたいという生徒の希望もあり、2002年度から2日間になった。この取り組みが円滑に行えるのは、町教育委員会のバックアップと地元の企業やPTAの協力によるところが大きい。
各事業所の反応は、「普段は今の中学生は何を考えているんだろうと思っていたが、実際に中学生が来ると、思ったよりかわいい」というような声が多いが、半面、「ちょっと幼い。もう少しきちんと挨拶ができないといけない」というアドバイスも。子どもたちの大半は「働くことは思った以上に大変だ」という感想を持つようだが、社会のなかで働くことに新鮮な喜びも感じているようである。 |
●3年時 保育体験と高校受験
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1、2年生での活動が、3年生の個別の進路指導につながる。
「自分の夢を強く持っている子には、その夢を実現するためには具体的にどうしたらいいのか、個別指導をします。一方、自分がまだはっきりと見えていない生徒と、遠い将来のことを話し合っても説得力はありません。でも将来、必ず社会に出るわけですから、どんな選択が考えられるか、子どもたち自身が納得できるようにしていきます」
3年生の体験学習は、幼稚園や保育園での保育体験である。
「何年か続けているうちに、この活動が子どもに自信を回復させていることがわかってきました。特にこの時期の生徒は、自分に本当に力があるのか、ものすごく不安になっているんです。そこで幼い子どもたちの相手をすると、『自分も結構大人なんだ』と思えてくるようですね。帰ってきた生徒たちの自信に満ちた表情を見ていると、これも非常に貴重な体験だなと思います」
3年間の体験が最後になって効いてくる。岸田先生が「どう生きたいのかを考える力がつく」と言うように、たとえ生徒が明確に将来の目標を持っていなくても、自分の未来への道のなかに高校受験を位置づけて、前向きにとらえることができているようだ。 |
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