太宰府市 |
太宰府市は福岡市の南東約16kmに位置する人口約6万6千人の住宅都市。古代から、外交・国防の中心地として、日本史の重要な位置を占めてきた。現在も大宰府跡、水城跡など数多くの史跡や名所が残っている。市内には、7つの小学校と4つの中学校がある。 |
太宰府市教育委員会
〒818-0198 福岡県太宰府市観世音寺1-1-1
TEL 092-921-2121
FAX 092-921-3667 |
学業院中学校 |
年間600万人の参拝者を集める、菅原道真公ゆかりの太宰府天満宮。そのお膝元にある学業院中学校は、吉備真備が国学としてこの地に建てた学業院からその名をとる伝統校である。1949年、宮村高等女学校の校舎と敷地が寄贈され、本校舎が新築された。歴史や伝統を大切にする教育が行われる一方、アメリカの中学校との国際交流も推進されている。 |
〒818-0101
福岡県太宰府市観世音寺3-11-1
TEL 092-923-2521
FAX 092-924-8328 |
生徒数/672人、
学級数/19学級(特学2含む)、
教員数/36人 |
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矢木信男校長
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教員のITスキルを向上させ、授業実践に結びつける |
「ミレニアム・プロジェクト」(注1)に基づき、学校教育でもすべての小・中学校が、2005年度までに、あらゆる授業においてコンピュータを活用できる環境を整備することが目標に掲げられ、現在、自治体主導で、学校の情報インフラ整備が進められている。すでに中学校の情報インフラを整え、授業実践へのスタートを切っている太宰府市の取り組みを紹介する。 |
注1 ミレニアム・プロジェクト 新しいミレニアム(千年紀)の始まりに政府が取り組みを決めたプロジェクト。教育の情報化においては、「2005年度を目標にすべての小・中・高等学校等からインターネットにアクセスでき、すべての学級のあらゆる授業において教員及び生徒がコンピュータを活用できる環境を整備する」こととされている。
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IT導入の取り組み(1) 教育委員会をセンターに教育情報ネットワークをつくる |
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2003年10月、太宰府市では、市内4中学校すべての情報インフラが整備され、授業実践へ向けたIT教材の教員研修が始まった。
「太宰府出身の子どもは情報教育をしっかり受けているなあ、と感心される。それくらい充実した情報環境を与えていきたいですね」と語るのは、太宰府市教育委員会・教育部の宮原竜さん。
太宰府市教育委員会では、02年から学校と話し合いを重ね、必要なIT環境の仕様を洗い出した。その結果、ハードウェアでは、パソコン教室での一人一台体制・すべての普通教室と一部特別教室へのコンピュータ整備のほか、学級担任用のノートパソコン、スキャナやプロジェクターなど授業で使う機器、校内LANが整備された。そのうえで、教育委員会をセンターとし、教育情報ネットワークを構築した。公共施設、各中学校間の接続ができる情報インフラを整備している(図)。将来的には、このネットワークを使って、学校間で優れた教材を共有したり、テレビ会議で国際交流をしていくという構想がある。 |
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「学校には、学校内部の運営に専念してもらい、維持管理は教育委員会が受け持つということが第一の方針でした。できるだけ学校には負担をかけず、便利で安全に使ってもらいたいからです。例えば、インターネット一つとっても、各学校がそれぞれに維持管理をしていこうとすれば、有害情報へのアクセスや個人情報の保護などセキュリティーの面で大変な負担になってしまいますから」(宮原さん) |
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IT導入の取り組み(2) ソフトウェア・ハードウェアを整備する |
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IT教材ソフトについても、学校の要望を取り入れ、23本の共通ソフトを全学校に配備。
それに加えて、各学校が必要に応じて自由にソフトを購入できるよう予算も組んだ。加えて、パソコンやIT教材ソフトの活用アドバイスをする人材を派遣する制度「ITサポート制度(注2)」も導入している。
注2 ITサポート制度 IT機器やIT教材専門のサポートスタッフを各学校に配置する制度。サポートスタッフは各学校に毎月定期的に訪問し、授業でパソコンを活用する方法について先生方と一緒に検討し、授業前のパソコン機器準備や授業中の先生、子どものパソコン操作の補助などのサポートを行う。
「ITサポート制度を導入したのは、IT機器やソフト教材を使いこなしてもらうためには、学校現場へのサポートが必要だと考えたからです。例えば、授業でパソコンやプロジェクターを活用したいと思っても、授業前の10分間で準備をするのは大変ですし、パソコンで操作ミスをすれば、そこで授業が滞ってしまうこともある。そんなとき、サポーターの手助けがあるだけで、教員は授業そのものに専念できる。手間がかからず、安心してIT機器や教材を使うことができますね」 |
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IT導入の取り組み(3) 市内全中学校でIT研修を実施する |
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ハード、ソフト両面ともにIT教育の環境は整った。だが、ここからさらにひと山越えなければならないと、宮原さんは課題を二つあげる。
一つは、「生徒がいつでもどこでも自由にパソコンを使って勉強し生活できる」状況になっていないという点だ。
「学校現場には、先生の目が届かないと機器が壊されるのではないか、といったトラブルを心配する声があるのです。だから、パソコン教室には鍵がかけられていたりする学校もあります」
もう一つの課題は、教員のパソコンへの抵抗感だ。
「パソコンは、若い年代ほど馴染みやすい世界。ベテランの先生方には、どうしてもとっつきにくいし、忙しくて活用する暇がないという先生もいます。けれども、文科省の目標にもあるように、すべての教員は、ITを使って授業できるようにならなければなりません。そのためには、何より教員の意識改革が必要です」
この意識改革をねらいとして、いま、市内全中学校でIT研修が進められている。すでに、この4か月で40回(1校あたり3回)、ITサポーターが各中学校を回り、教材ソフトの使い方や授業への活用方法をレクチャーする形式で進められている。 |
▲写真1 学業院中学校でのIT研修。この積み重ねにより、 教員のパソコンに対する関心度も徐々に上がっている
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