ベネッセ教育総合研究所
米野岳中学校
■洞戸(ほらど)中学校データ
 洞戸村は、岐阜市の北東約40kmに位置する人口約2,400人の村。村の面積の約9割が山林である。村おこしとしてキウイ栽培やミネラルウォーターなどの特産品づくりに力を入れており、とくに、「高賀の森水」は名水として知られている。2005年2月には合併により関市に組み込まれる。洞戸中学校は村内でただ1つの中学校。「個性を生かして役立つ人に」を教育目標に、なにごとにも意欲的に取り組む生徒の育成を目指している。
〒501-2812
岐阜県武儀郡洞戸村市場566-1
TEL 0581-58-2034
FAX 0581-58-2496
校長/今井道生先生
生徒数/70人
学級数/4学級
(特殊学級1学級を含む)
今井道生
▲今井道生校長
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固定化する人間関係に刺激を与え
たくましい生徒を育てる
実践のポイント
(1)学校行事や「総合的な学習の時間」では、他校との交流や社会的な活動を重視。生徒に刺激を与え、自信と意欲を引き出す指導に取り組む。
(2)「自主勉強ノート」等を通じて、学習習慣の定着と、学習意欲の向上を図る。


●課題
固定化した人間関係に、切磋琢磨する雰囲気を持ち込む
 人口約2千400人の洞戸村にある洞戸中学校の生徒数は、全校合わせて70人で、1学年1クラスの単学級編成となっている。そんな洞戸中学校に通う生徒の気質を先生方は、「素朴でまじめな子が多い」と評する。だが一方でこんな課題も感じている。
「洞戸村に小学校は一つしかなく、子どもたちは小・中学校の9年間を、クラス替えもないまま、まったく同じ顔ぶれのなかで過ごしていきます。どうしても人間関係が固定化してしまい、互いに切磋琢磨しあうという意識が乏しくなってしまうんです」(今井道生校長)
 固定化された人間関係のなかでは、「Aさんは勉強ができる」とか「リーダーはBくんだ」といった意識が一度できあがると、その固定観念が崩されないまま続くことになる。すると、「自分は勉強ができない」「自分はリーダーにはなれない」と感じた子どもは、努力することや自ら考えることに消極的になり、持っているはずの可能性を芽吹かせるチャンスを生かせないまま、小・中学校生活を送ることになりかねないわけだ。
 校内研究担当の浦崎太郎先生も、次のように語る。
「以前、洞戸小学校の先生方と小・中交流会をしたのですが、小学校の先生方によると、子どもたちも小2ぐらいまでは授業中でも臆することなく意見をぶつけ合うのだそうです。ところが中学年くらいから、仲間の目を気にして、ぱたっと意見を言わなくなるらしい。固定化された仲間関係のなかで、変に目立って失敗するのが怖くなるのかもしれません。
 私たちの中学校では、小学校低学年まで普通に行われてきた子ども同士のぶつかり合い・もみ合いを、もう一度成立させたいと考えています。互いに高め合う集団のなかで、自分の考えを持った生徒を育てるのが目標です」


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