ベネッセ教育総合研究所
福岡県北九州市立板櫃中学校
板櫃中学校データ
 北九州市は福岡県の北端、九州の玄関口となる人口約100万人の政令指定都市。板櫃中学校はその中央部、小倉北区の緑豊かな場所に位置する。部活動が盛んで吹奏楽部、野球部などが全国大会に出場した。北九州市「環境教育」研究推進指定校、「総合的な学習」の研究委嘱などの指定を受け、先進的な教育に取り組む。2002年度から04年度まで北九州市の「情報教育推進モデル校」に。
〒803-0825
福岡県北九州市小倉北区白萩町8-1
TEL 093-561-4993
FAX 093-561-4996
http://www.kita9.ed.jp/
itabitsu-j/

校長/川崎啓子先生
生徒数/489人、
学級数/13学級
川崎啓子
川崎啓子校長
田代真二
教務主任
田代真二
Tashiro Shinji
井ノ口友子
情報化推進員
井ノ口友子
Inokuchi Tomoko
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福岡県 北九州市立板櫃(いたびつ)中学校
教科目標の達成のためコンピュータ活用に
組織的に取り組む
全教科の授業でコンピュータを活用している中学校は、情報教育が進む現在でも多くはないだろう。3年間の組織的な取り組みで、全教科へとIT活用を広げた板櫃中学校の事例を紹介する。


コンピュータでできることを探していく
 板櫃中学校では04年度、すべての教科でコンピュータを取り入れた授業を実践し、北九州市の「情報教育推進モデル校」として、授業公開などを行った。しかしモデル校指定を受けた02年度には、現在のようにパソコンも十分に整備されておらず、教師のITの授業活用に対する意識も高くはなかったと川崎啓子校長は語る。
「02年度末に教師に対してアンケートをとったところ『コンピュータを授業で活用できる』という人は40%くらいしかいませんでした。ほとんどの教師が成績処理などでパソコンは使っているのに、自分が校務で使うことと、授業で活用することは切り離されていました」
  しかし生徒たちに対して行ったアンケートでは、「心に残った授業は?」という項目に9割以上が「コンピュータを使った授業」と答えていた。その結果からも、生徒の関心を高めるコンピュータをもっと積極的に授業に活用すべきだと板櫃中学校の教師は考えるようになった。教務主任の田代真二先生は次のように説明する。
「大切にしたのは、特別なことはしないということです。学校でしなければならないのは教科の学習目標を達成することであり、そのためにコンピュータをどのように使えるかという発想を中心に据えて考えるようにしました」
  「教科の目標」を達成するため、授業で「教育効果をあげるための一つの道具」としてコンピュータを使う。しかし、それには情報機器の操作を生徒に教えることも必要だ。そこで、コンピュータ活用等の基礎的な知識と技術の習得は技術・家庭科で行い、他の教科はその教科としての目標を達成することに専念するという方針を打ち立てた。
  教科目標を達成するためのコンピュータの活用に向けて、02年度に組織されたのが「情報教育推進委員会」だ。校長、教頭、教務、各学年代表、技術・家庭科担当教師および北九州市より派遣された情報化推進員で構成されている。
  板櫃中学校では、校内研修会を実施し、コンピュータを使った授業の実践事例の研究もあわせて行った。それをもとに各教科担任が授業実践をしようとした場合には、推進委員会が授業支援、環境整備を進めた(図1)。
図1 情報教育推進委員会の実践系統図
同時に、校務の情報化も進めて、通知表、成績処理もコンピュータでできるようにしていった。この取り組みを川崎校長は次のように振り返る。
「1年目は生徒用のパソコンが十分になかったので、教員研修、組織づくり、校務事務のIT化が中心でした。1年目の2月末に生徒用のパソコンが導入され、2年目、3年目に実際にコンピュータの授業への導入を中心に活動しました」
  まず、教師のIT化が進んだこと、組織づくりから入ったことが2年目、3年目の成果へと結びついたといえる。


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