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■音楽
芸術系の教科においても、「感性」や「科学的なものの見方・考え方」は有効だ、と話すのは副校長の渡邊隆樹先生だ。
「私の担当教科である音楽でいえば、かつて不協和音は耳障りな音とされてきました。ところが現代音楽では、不協和音を用いた曲がたくさん作られているし、人びともそうした曲を心地よいと感じるようになっています」
感性が働かなければ、そうした曲をただ聴き流すだけで終わってしまう。しかし、音楽を自分とのかかわりのなかでとらえ、追究する価値を感じ取る力があれば、「昔と今の曲は、聴いていて何かが違うぞ」ということに気がつき、それが不協和音ではないかという考えに至る。そこで、音楽を構成する諸要素の働きやかかわり合いに分析を加え、音楽のよさや、その意味、価値をとらえていく。
「これができれば、音楽を通した学びも、ずっと豊かで深みのあるものになるはずです」(渡邊副校長)
このように全教科に科学的な見方や手法を取り入れることに対して、当初は、教師たちの間に戸惑いもあったという。しかし、現在では、「科学を広義にとらえることで、科学的な働きかけができる部分は各教科の授業のなかに必ずある」という認識が教師全員の間で共有されている。そのことは、全教科の指導案のなかに、必ず「感性」と「科学的なものの見方・考え方」にあたるポイントが明記されていることからも明らかだ(図3)。
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「それらを授業のなかで意識することで、教師の問いかけや子どもの反応、学びは確実に変わってきています。教師は、教え込みではなく、子ども自身に考えさせる授業を仕組むことができるようになります。また、授業のなかで子どもたちが試行錯誤する場面も増えてきました」(渡部先生)
現在は教科ごとに「科学」を取り入れる工夫をしているが、今後は、生徒の姿を分析したり、どの教科にも通用する手立てを探ったりすることで、教科間の横のつながりを深めていきたい、と渡部先生は話す。
すべての教科を通じて、生徒の感性と科学的なものの見方・考え方を養おうと考えている附属長岡中学校。その試みの行方に注目したい。
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