特集 コミュニケーションが生まれる授業づくり

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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個々の能力よりも「関係性」の構築を

――具体的に授業の中でどのような工夫をすればよいのでしょうか。

 

秋田 教師は教えすぎず、子どもに考える「場」を与えることが大切です。そうした場での教師と子どものかかわり合いが、コミュニケーション力を育みます。例えば、ある中学校では、机を三角形に並べて3人で話し合います。1対1では組む相手に左右されやすく、4人では2対2になり、話に参加できない子がいましたが、3人だと円滑に話していました。適切な関係を築いている好例といえます。

 

平田 少子化によって教室に「他者」が減ったことも問題ですね。1学年1学級の小規模な小学校では、6年間、場合によっては中学校でも全く同じ顔ぶれになる。互いを熟知した「身内」ばかりなので、スピーチでも緊張感はなく、知っている話ばかりが出てきます。「総合的な学習の時間」などを利用して、積極的に地域に出るべきです。もっとも、最近は地域社会も崩壊しつつあります。そこで従来とは違う形で、例えば、劇場やスポーツクラブ、ボランティア活動などを通したコミュニケーションの場を増やすべきだと思います。

 

秋田 話の「中身」を与えることも大切です。子どもが語りたくなる教材をいかに用意するか。ある中学校の理科で「摩擦がなくなるとどうなるか」ということを話し合いました。すると、1人が「人類が滅びる」と発言した。その生徒は「火を起こせないから人類は生きられない」と話し始め、皆が感心したんです。授業が日常生活に密接にかかわることを実感できると、格段に面白くなる。そんな教材を用意し、話し合いに導くのが教師の役目です。

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