地方分権時代の教育行政 愛知県東海市
愛知県東海市

名古屋市の南に隣接し、伊勢湾に面する人口約10万人の市。大手の鉄鋼関連企業3社が臨海部に並び、中部圏最大の鉄鋼基地として栄えてきた。また、洋ランやフキの有数の産地でもある。公立小学校12校、公立中学校6校を擁する。

 

【東海市教育委員会】

〒476-8601
愛知県東海市中央町1-1
TEL 052-603-2211
URL http://www.city.tokai.
aichi.jp/‾kyouiku/
kyouiku.html

深谷孟延

▲東海市教育委員会
教育長

深谷孟延

Fukaya Takenobu

近藤哲夫

▲東海市教育委員会
次長

近藤哲夫

Kondo Tetsuo

三浦好美

▲東海市教育委員会
学校教育課長

三浦好美

Miura Yoshimi

鈴村俊二

▲東海市教育委員会
学校教育課指導主事

鈴村俊二

Suzumura Shunji

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
   PAGE 1/4 次ページ

地方分権時代の教育行政
地方自治体が挑む学校教育への新たな取り組み

愛知県東海市

「輝く学校づくり事業」を立ち上げ「文化的環境」の創造を目指す

子どもたちが学校に誇りを持てるようにと、愛知県東海市教育委員会(以下市教委)は、学校の特色づくりの成果を数値で示す「輝く学校づくり事業」を始めた。当初、学校現場には戸惑いがあったが、フットワークのよい市教委と、予算の増強を好機と捉えた学校が連携し、改革は着実に前進している。

「文化的環境」の創造を目指した改革

 小学校では学級崩壊、中学校では校内暴力――。2000年ごろ、愛知県東海市内の小・中学校は混乱に陥っていた。学習への意欲や興味、更には体力や運動能力も低下し、子どもたちは活力を失っていた。
  そんな危機的状況からの脱却を目指し、市教委は数々の施策を打ち出してきた。PTA会長を中心とした「おやじの会」の設立、若手教師の勉強会の開催、中学校区単位での研究指定など、教職員だけでなく、保護者や地域、関係機関にも積極的に協力を求めていった。
  中でも、市独自の予算を計上して、指導主事や青少年センター所属の社会教育主事を増員することには力を入れた。スタッフが学校現場へ足繁く通うことで、互いの連携を深めるためだ。
一連の施策の背景にある思いを、深谷孟延(たけのぶ)教育長は次のように語る。
  「まずは、学校を地域全体で支える環境を築くことが先決と考えました。なぜなら、子どもの成長にとって不可欠なのは、地域や保護者、伝統に支えられた『文化的環境』だからです。これが確立しないうちは教育改革はおぼつかないのです」
  こうした思いがあるだけに、同市の学校教育にかかわる施策には「二学期制」や「少人数授業」といった、よく目にする用語はない。あるのは、授業改革への徹底したこだわりだ。
  「学校が地域の信頼を得るために、最も大切にしなければならないのは、しっかりとした授業を成立させることです。教育改革は、授業が変わらない限り始まらないのです。二学期制や少人数授業は、授業改革のあとでよいと考えています」(深谷教育長)


   PAGE 1/4 次ページ