特集 「学びに向かう」生徒をどう育てるか?

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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何を学べばよいかがわかる「単元学習カード」

 そこで、小鹿野中学校は、自主的に学習に取り組む生徒を育てるためのさまざまな取り組みを展開している。その一つが02年度から始めた「単元学習カード」の生徒への提示だ。
  これは、各教科で新しい単元に入るときに、単元の到達目標を明示したプリントを生徒に配るというもの図1)。ゴールがはっきりしていれば、人は頑張ることができる。生徒に「この単元では、これができれば合格なんだ」と目標をあらかじめイメージさせることで、学習意欲を引き出すことが狙いだ。
  「ただ、あまりにゴールが遠いと、生徒はかえってやる気を失います。そこで、例えば、2、3年生で習熟度別授業を行っている英語では、基礎コースの生徒にはまずB基準を示し、それをクリアしたらA基準を提示するといった2段構えにしています。ゴールは、成績上位層の生徒にとっても中・下位層の生徒にとっても、『少し頑張ればできる』という地点に設定することが重要です」(吉岡先生)
▼図1 「単元学習カード」の例
図1
  図2は、「単元学習カード」で到達基準を明示したことによる生徒の学習意欲の変化を示したものだ。約75%の生徒が、到達基準を設定されると「やる気が高まる」と答えている。
  更に「単元学習カード」は、単元の終了後、自己評価による学習の振り返りにも利用している。自己評価を記入したあとのカードは、教科担任がコメントを記入し、生徒に返却する。浦島明久校長は次のように話す。
  「自己評価では、自分に対して厳しい評価をする生徒もいれば、甘い評価をする生徒もいます。そこで、教科担任のコメントが大切になります。例えば、ある単元で自己評価をAとした生徒が、新たな単元に入ったときに前の単元の理解が実は十分ではなかったことが明らかになったとします。そんなときは教科担任が『前の単元でAだと思っていたけど、Aじゃないことがわかったね』とコメントをする。教師と生徒が一緒になって評価と検証を繰り返すことで、自分の力を的確に測る尺度を生徒に身につけさせたいと思っています」
  精度の高い評価尺度を身につけた生徒は、「今の自分はここが苦手だから頑張ろう」というように、自分の課題を的確に把握し、それに沿った学習計画を立てられるようになる。
図2

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