地方分権時代の教育行政 大阪府吹田市
VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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各校区の自由度を高め独自性を最大限に生かす

 校区ごとに取り組みの内容が異なるのも特徴だ。大田課長はその狙いを「地域性を生かした連携を進めるために独自性を重視しています」と話す。各校区が「コミュニケーション」「国語力」「生活規律・授業規律」など、重点教育目標を設定して明文化。それを市全体で共有することでも取り組みの活性化を図っている。
 ただ、独自性を重視するため、校区間の差が生じやすいのは否めない。そこで市教委は共通目標として「プラン21」を意識するように呼びかけ、学校生活や授業の規律に関しては共通化を進めている。
 これまでの取り組みを通じた最大の成果は「教職員の意識の変化」だ。
 「以前から『小中連携は必要』という思いは現場にあったものの、具体的な取り組みはあまり見られませんでした。それが今では連携は『当然』と考える教師が増えています」(学校教育室指導課・西田智子主事)
 特に取り組みが充実している校区では、小学校に比べ、中学校側の意識の高さが目立つという。大田課長は「中学校の教職員が『先行投資』という考えで、より積極的に取り組むことが連携の鍵」と指摘する。
 更に、小中一貫教育を実現するには、同じ校区内の「小小連携」が不可欠という認識も浸透したという。
 「各小学校での指導に大きな違いがあれば、中学校入学後の生徒の戸惑いが大きくなります。その段差の解消に向けて小学校の教職員が行き来をして交流を図るようになりました」(大田課長)
 今後は生徒指導に加え、学習内容の面でも「総合的な学習の時間」などで小学校間連携を深める方針だ。
 現段階では学力向上に関する成果は必ずしも数値としては表れていないが、「目先の効果にとらわれずに、しっかりと長期的な計画を練って全体的な底上げを図りたい」(西田主事)というのが基本方針だ。学習指導要領の改訂に合わせて、9年間を通して身につけさせたい学力を明確化し、10年度までに一貫カリキュラムを策定するのが目標だ。
 「小中一貫教育は、あくまでも地域に根差した質の高い公教育を実現するための手段の一つ。常に子どもを軸に考えながら市全体の取り組みを充実させていきます」(大田課長)


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