高校説明会の成功を受け、同校が次に着手したのが「黄金の一週間」(図2)だ。各学期の始めや定期考査、学校行事の終了後など、高まった意欲が低下する一週間を大切にしよう、と生徒に意識させる活動だ。
期間中は、校内放送や全校朝会で呼び掛けたり、プリントを配付したりして、黄金の一週間であることを繰り返し伝える。
「一つの出番をしっかりやり遂げたとしても、それで終わりではありません。役割を果たしたことが承認されて、それが次の出番につながってこそ意味があると思うのです。生徒自身にそれまでに積み重ねてきた成果や課題を意識させ、更に意欲を高め、次の『出番・役割・承認』のスパイラルにつなげるのが『黄金の一週間』のねらいです」(空閑先生)
「黄金の一週間」で重視するのは、遅刻・欠席、服装などのいわゆる生徒指導にかかわる内容だけとは限らない。例えば、学期始めの時期には、教科学習の心構えや授業の受け方など、学習にかかわる内容も扱う。
一連の活動で注目すべき点は、「開発的生徒指導」「黄金の一週間」などの学校の方針と取り組みの内容を生徒にも十分に説明し、しっかり認識させていることだ。
「生徒自身も、この取り組みがどのような内容で、何を目標としているのかを説明できます。中学生であれば、私たちの指導の手の内を見せてもよいのではないでしょうか。集団にかかわる全員が意思を同じくして取り組んだ方が、より良い集団となっていくと思うからです」(佐藤校長)
更に同校では、こうした活動をより着実に定着させるため、通知表にも「出番・役割・承認」の欄を組み込んでいる(図3)。出番と役割の欄は生徒自身が記入し、承認の欄は生徒の出番・役割で頑張ったことを担任が記入する。佐藤校長は、保護者が生徒を認めることが次の役割につながると話す。
「『出番・役割・承認』について、保護者と共に取り組んでもらうための工夫です。三者面談の機会などを生かして、親子で一緒に目標を確認し、担任の承認コメントを保護者にもフィードバックしています」
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