家庭学習 指導のひとさじ

長岡京市立長岡中学校

◎1955(昭和30)年開校。2005年度から3年間、文部科学省「学力向上拠点形成事業」の指定を受け、「自ら学ぶ意欲」を育てる教材として「学習ガイド」の開発に着手。08年度からはこの研究を継承・発展させた「自ら学ぶ力及び活用に関わる力の育成を目指した『単元パッケージ』の開発」(京都府教育委員会他指定)に取り組む。


■校長:橋本政道先生
■生徒数:503人
■学級数:16(うち特別支援学級2)
■所在地:〒617-0824 京都府長岡京市天神4丁目5-11
■TEL:075-951-1171
■HP:http://www.
edu.city.nagaokakyo.
kyoto.jp/nagaoka-j/

湯浅修一

長岡京市立長岡中学校

湯浅修一

Yuasa Shuichi
教務主任、研究主任
英語科担当

VIEW21[中学版] ともに語る、考える。ベネッセの教育情報誌
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家庭学習 指導のひとさじ:京都府長岡京市立長岡中学校

教師の手の内を明かした
「学習ガイド」で学習意欲を育む

長岡京市立長岡中学校では、「勉強をしないといけないと分かっているけれども出来ない」という
生徒を支援するために、単元単位での「学習ガイド」を作成した。
学習のめあてや自己評価のポイント、宿題などを事前に示し、自ら学ぶ力の育成を図っている。

計画→遂行→自己評価のサイクルでやる気を引き出す

 長岡中学校は、生徒の自主学習を支援するための「学習ガイド」を、文部科学省「学力向上拠点形成事業」の指定を受けた2005年度から作成している。生徒の意識や実態を把握するためのアンケートを行ったところ、「勉強の大切さは分かっていて、勉強しないことを反省しつつ、それでも勉強しない」という生徒像が見えたことがきっかけだ。
 「勉強をする気はあるけれども、出来ないという生徒を支援したいという思いがありました」と、教務主任の湯浅修一先生は説明する。
 開発にあたっては、国立教育政策研究所の山森光陽研究員の指導をあおぎ、理論的基盤として「自己制御学習モデル」を用いることにした。学習に取り組む過程を「計画」「遂行」「自己評価」の循環過程としてとらえたもので(図1)、これを学校教育に当てはめて、次のような指導のポイントへと発展させた。各教科はそのポイントを踏まえ、教科特性や生徒の実態を考慮に入れた上で、教科別に「学習ガイド」を作成した。

図1:自己制御学習モデル

*次の文献を参考に作図:Zimmerman, B. J. (1998). Developing self-fulfilling cycles of academic regulation: An analysis of exemplary instructional models. In Schunk, D. H. & Zimmerman, B. J. (Eds.), Self-regulated learning: From teaching to self-reflective practice. New York, NY, US: Guilford Publications. pp. 1-19.

指導のポイント(同校「研究概要」より引用)

●計画の段階

(1)学習内容に関連した目標を持たせる
(2)どのように学習を進めればよいかを示す

●遂行の段階

(3)自分で学習を進められるようにする
(4)自分で適宜学習状況をふり返ることができるようにする

●自己評価の段階

(5)学習内容に関連した形での自己評価ができるようにする
 「学習ガイド」には、単元のねらいや学習内容、自己評価や「おすすめの宿題」が記されている。分量は一単元当たりA4の用紙で2~3枚。各単元の最初の授業で配布し、専用ファイルにとじたりノートに張ったりして、各自が授業や家庭学習の「道しるべ」にする(図2)。
 学習のめあてが明示されているので、その日の授業で何が重要かが一目瞭然となり、「おすすめの宿題」を参考に、家でどのような勉強をすれば良いのかも分かる。
 「この単元ではこんな力を身に付けさせる→そのために教師はこんな指導を行う→それを理解するために有効な勉強法はこれ→具体的にこんな問題を解くと力が付く、といった具合に、ある意味で教師の指導の『手の内』を生徒に明示したわけです」(湯浅先生)
図2 学習ガイド(平成21年度版)

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図2:学習ガイド(平成21年度版)
どの教科も、単元(授業)のねらい/その学習方法/自己評価ポイント/宿題(または確認問題)が明示されている。教科により各項目の示し方は工夫されている。例えば、社会は「ねらい」を先に提示するとその日の授業の答えになってしまう場合が多いため、ガイドは要点のチェックが中心になる
※こちらから家庭学習指導ツールがダウンロードできます
■「学習ガイド(社会)」 Wordダウンロード(37KB)
■「学習ガイド(英語)」 一太郎ダウンロード(1.34MB)

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 とはいえ、現在の形になるまでには試行錯誤があった。作成初年度は、指導のポイントを絞りきれていなかったため、内容が多く細かくなり、生徒に不評だった。そこで2年目からは「使いやすいガイド」を目指し、生徒の意見や教科特性に更に配慮して要素を精選してきた。
 作成開始から5年目となる09年度は、盛り込む情報量の適量が見えてきた。今後もより良い内容を目指し、試行錯誤を続けていく。

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