英語の総合力を客観的に問う
このような指導を行うことで、1年生のときには緊張していた生徒も、次第に自分から英語で話せるようになるという。
「定期テストで必ずしも高得点を挙げていない生徒でも、どんどん発言をし、自分なりの表現をしていくのです」(丸山先生)
それは教師として喜びであると同時に、定期テストなどだけでは評価しきれない能力があるのではないかと思う、きっかけでもあった。
「英語は総合的な活動として使うもの」として指導しているからこそ、生徒の英語力を総合的に評価していきたい。そこで、同校が11月に実施するのが「英語コミュニケーション能力テスト」だ。このテストは、リーディング、リスニング、ライティングの3技能を測る問題を課し、評価は英語習熟度の高さに応じて点数で示す「スコア制」をとっている。
「ライティングの問題には、課題に対して賛成・反対の立場で自分の意見を書く英作文があります。これは『英会話』の授業のディベートと同じ形式です。こういう形式のテストは既存のものにはありませんから、授業での成果を評価するよい機会だと考えました」(山賀先生)
また、このテストは、リーディングでは日本語が介在しない、英語のみでの出題、リスニングでは1回の発話を聞いて解答させる問題形式としており、問題の素材も、写真やグラフ、地図などを使用し、オーセンティックな内容となっている。同様のテストにはTOEICやTOEFLがあるが、「英語コミュニケーション能力テスト」は高校生のレベルにふさわしいと考えたことから、受験に踏み切ることにしたと言う。
テスト後はきちんと復習
同校では、すべての模試について、受験した後、当日は自己採点、翌週には復習テストを行い、さらに必要に応じて過去数か年分の問題を週末課題とするなど、知識の定着を図っている。もちろん、「英語コミュニケーション能力テスト」も、ただ受験させるだけではなく、復習の教材としても積極的に活用しようと考えている。
「センター試験、英語検定、TOEICと、それぞれのテストで出題される語彙の系統は少しずつ異なります。つまり、多くのテストを受けることで、入試では問われない語彙でも、海外では当たり前に使われている語彙をフォローすることもできます。『英語コミュニケーション能力テスト』を受験するだけでも、生徒の語彙力を高めることにつながるのです」(丸山先生)
模試を一過性のテストとせず、きちんと自分の知識として消化してほしい。きめ細やかな指導の積み重ねによって、生徒のコミュニケーション能力を育てている国際情報高校。
「授業では和英辞書の持ち込みを可としています。しかし、生徒は自分が伝えたいことの英単語を知らなくても、辞書を使おうとはしません。他の表現を自分で考えて、発言しているのです」(山賀先生)
英語をコミュニケーション手段として、確実に自分のものとしている生徒の姿が垣間見えるようだ。
「生徒それぞれの評価はもちろん、学校全体として全国ではどのレベルに位置するのか、テストの結果が楽しみです」(山賀先生)
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山賀淑雄
教職歴17年目。同校には創立時から赴任し、9年目。第3学年主任。英語担当。「自分のエネルギーが生徒に伝わり、生徒自身のパワーとなるように接していきたいです」
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丸山正彦
教職歴11年目。 本校に赴任して2年目。第2学年クラス担任。英語担当。「生徒がIndependent
Learner、自立した学習者になるように手助けしたいですね」 |
新潟県立国際情報高校
1992年創立。国際文化科、情報科学科からなる共学校。'00年度は全12クラス、生徒数は474名。'99年度入試実績は、現役卒業生157名に対し、新潟大23名、東北大12名など、国公立大に114名合格。生徒の目指す進路に応じて、文系(国際文化科)、理系(情報科学科)に分かれ、より専門的な教育内容を実践する。
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