VIEW21 2000.10  特集 SIづくりから始まる学校改革

第2部
SIづくりをどのように進めたか


写真 関根正史

■報告1
若手教員を中心に、
将来構想委員会とプロジェクトチームを
立ち上げる

群馬県立高崎高校
報告者 ●関根正史先生



 本校がカリキュラム委員会をスタートさせたのは'98年の秋のことです。完全週5日制を視野に入れた上での、新学習指導要領に応じたカリキュラムづくりが目的でした。これまでは、生徒の変化に対して何とか乗り切ってきたという状態。その上週5日制になると、授業時間の削減は避けられません。これを機に、何か思い切った学校改革を立ち上げようということになったんです。しかしこの委員会は、なかなか名案が浮かばず、暗礁に乗り上げました。
 そんなとき、先程お話した座談会がありました。'99年の6月のことです。会は、今の生徒にどう対応したらいいかという話題で大いに盛り上がりました。そこで座談会後に学校長と相談して、ちょうどいい機会だから、生徒の現状をどう見るか、どのように指導するかをテーマに、職員研修会を開こうということになったんです。これが先にカリキュラム委員会がぶつかった壁を突き破るきっかけになりました。
 研修会というのは大人数になればなるほど、発言する先生が限られるものなので、全教員を八つのワーキンググループに分けることにしました。そして8月から10月にかけて各グループで、生徒について感じていることを語り合ってもらったんです。狙い通り、普段は黙っている先生も積極的に参加してくれましたね。そして10月中旬、各グループの討論結果を報告する全体研修会を開催。やはりほとんどの先生が、生徒の変化に対して危機感を抱いていることが分かったんです。

TFCが次々と学校改革案を提出

 このように、全教員へ問題意識の浸透を図った後、「高高将来委員会(TFC)」を発足させました。委員はやりたい人が自ら立候補する自薦形式で募集し、比較的若い12名の先生で編成されました。発足時に委員に呼びかけたのは、「思い切った学校改革案を出そうじゃないか。自分たちの理想の学校に変えていこう」ということ。結果的にはこのTFCが、新カリキュラムづくりの骨子の大半を作る母体となりました。
 全体研修会での先生方の声や、生徒に対して行った「21世紀の高高のための意識調査」の結果を参考にしながら、TFCではまず徹底的なブレーンストーミングを行いました。本校の将来像をどうするのか、社会のリーダーとなる生徒をどう育てたらよいのか、ということをテーマとして、委員に様々なプランを出してもらい、それをみんなで徹底的に討論していくんです。そうして、12月にはTFCによる第一次中間答申、3月には第二次中間答申ができあがり、職員会議で提言しました(表1)。ここでは、第二次中間答申で出した「総合的な学習の時間」についてだけ触れておきたいと思います。
 「総合的な学習の時間」は、1年次にボランティア活動を中心とした体験学習と、社会人講師の授業を中心とする討議・討論学習を二本柱とし、どちらも報告をさせます。社会人講師授業は現在実施しているものを深化させ、「総合的な学習の時間」に組み込むことにしました。また2年次では、現在2年次の2学期に実施している企業・研究所訪問をより大規模なものとして全国レベルで展開することを提案しました。このように従来からある行事を活用しながら、「総合的な学習の時間」の青写真を作り上げました。体験学習は、班活動も大切ですが、生徒個人の中に貴重な体験として蓄積させていく仕掛けも大切です。そこで生徒には、自らが得た成果を進級論文、卒業論文という形で提出させようと考えています。
 7月4日、TFCの答申を具体化させるために、六つのプロジェクトチームを発足させました(表1)。やはりメンバーは自薦で募集しましたが、一つだけ私の方から要求したことがあります。それはチームのチーフを30代以下にすること。ベテランは、プロジェクトが実現する頃には高崎高校にはいません。システムを機能させると同時に、若い人材も育てていかなくてはいけないと思っています。

表1 TFCによるSI構築に向けた動き


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