VIEW21 2001.02  特集 高校に迫りくるIT化の波

一番大切なのは情報化を進める分掌が教師を管理しないこと

 今後、多くの高校でIT活用が進められることとなるだろう。高校のIT活用には、教師にとってと生徒にとっての二つの側面がある。高校でIT化を進めるに当たって大切なこととして、和田先生は前者については、コンピュータ事業を進める分掌が教師を管理しようとしないことを挙げる。
 「本校にCS部ができたときから、我々はあくまでサポーターであって、管理する分掌ではないということだけは忘れないようにしています。私たちの仕事は、先生方が、例えばワープロや表計算のソフトを使っていて困ったとき、助けを求められたらサポートすることが主です。でも、情報化を進めるに当たって、コンピュータの担当者は、つい使用ルールを厳密化しようとします。コンピュータの管理が高じて、つい利用者までも管理したくなるんです。でも、コンピュータの使い方を細かく限定したり、こうしてください、あれはしないでくださいと縛ろうとすると、先生方もコンピュータを使う気持ちをなくしてしまいます。それでは意味がありません。『コンピュータ化を進める人間が管理的であってはならない』それが同校のCS部の鉄則なんです」
 また、生徒にとってのIT活用の面では、パソコンのスキルを教えることだけに終始しないことが大切だと語る。
 「スキルの指導にとどまっていると、単にパソコン・ユーザーを育てるだけになってしまいます。もう一歩踏み出して、情報機器を日々の中でどう使えば充実した生活に役立てることができるか。そこまで考えた教育をする必要があると思います」(和田先生)

「総合的な学習の時間」や学校の特色づくりとも連動するIT活用

 安芸高校のIT活用は、「総合的な学習の時間」(以下、「総合学習」)を意識して始められたわけではない。しかし、「総合学習」で重視される「自ら学び、自ら考える」「自ら体験する」などの要素は、これまでのIT関連の取り組みに既に多く含まれている。それらの取り組みを「総合学習」に活かすことは十分に考えられるという。また、今後より強く求められる高校の特色づくりについても、整備されたIT環境が安芸高校の魅力づくりの中で重要な位置を占めるのは間違いないだろう。
 「目新しいことばかりを追い求めると、教育の基本を見失う恐れがあります。大切なのは、生徒が自分の生き方を考えるための土台を作ること。IT活用は、その土台を作る環境を少しでもよくするために行っていることで、活用自体が目的ではないんです」(藪内教頭)
 同校のITを活用した取り組みは、地に足を着けながら、さらに大きく広がっていく。

表1 インテリジェント計画の内容と実践例

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