VIEW21 2001.04  創造する 総合的な学習の時間

実施への課題と解決の指針

従来の取り組みを深化させる

 各高校で新課程への対応が協議されるにつれて、「総合的な学習の時間」の内容が徐々に見え始めている高校も多いのではないだろうか。今回は「総合的な学習の時間」の内容を検討する際に踏まえておきたい活動の概要と目的などについて確認する。


 「総合的な学習の時間」(以下「総合学習」)は、新学習指導要領の柱の一つである「生きる力を育てる」ことを具現化したものと言える。「総合学習」のねらいは、課題発見力、解決力を育てることと、問題の解決や探究活動に主体的に取り組み、自己の在り方、生き方を考えられるようにすることである。
 文部科学省は「総合学習」の学習活動例として次の三つを挙げている。

  1. 国際理解、情報、環境、福祉・健康などの横断的・総合的な課題についての学習活動
  2. 生徒が興味・関心、進路等に応じて設定した課題について、知識や技能の深化・総合化を図る学習活動
  3. 自己の在り方、生き方や進路について考察する学習活動
 一方、「総合学習」において高校の教師が感じている不安や疑問としては、弊社のヒアリング調査によると次のような声があった。

  1. 新しい取り組みのため、ゼロから作り上げていかなければならず、相当負荷がかかるのではないか。
  2. 「総合学習」を取り入れることで既存の教科・科目の授業時数が減り、進学実績に影響するのではないか。
 「総合学習」のねらいや文部科学省の提示している学習活動例を踏まえた上で、これらの課題に対応するには、どうすればよいのだろうか。
 aについては、既に「総合学習」に着手している学校を見ると、全くの白紙からでは負荷がかかり過ぎるので、これまでLHRを中心とした特別活動などで行ってきた取り組みを、より深化させる形で「総合学習」に組み込んでいるところが多い。またbについては、生きる力を育みつつも、同時にそれが学習意欲の向上や進学にも結び付くような活動を設定していこうと考えている。
 このことから、現在進学希望者の多い高校で主流になりつつあるのが、今までの進路学習や小論文学習を軸に深めていく「総合学習」だ。進路学習や小論文学習を通じて、目的意識や学問に対する探究心を養った生徒は、学びにもより主体的に向かうようになると言われている。


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