VIEW21 2001.10  IT Introduction 情報技術が学校をどう変えるのか

自由発想のデータ加工
先生同士で情報交換も

 同校では、校内で作成する様々な文書のまとめ方について、ある程度教師一人ひとりの裁量や創意工夫を認めているという。
 「公に提出する資料についてはフォーマットを決める必要がありますが、学年やクラス単位で出力するものについては自由です。例えば、生徒の個人データを集約した『個人カード』について、ある先生がとても良いデータのまとめ方をすれば、他の先生が『それ、どうやってつくったの?』と聞いて真似をする。先生同士で教え教えられしながらデータのまとめ方を深化させようと考えたのです」
 また同校は、次年度の担任を前年12月には決定し、年度内に次年度の新しい担任がデータをうまく引き継げるよう、データの扱い方についての伝達を行う。
 「新年度が始まってから、引継ぎを行うのでは間に合いません。年明けから3月にかけて徐々に次の学年に引き継いでちょうどよいくらいです」と上平先生は言う。

IT活用の促進に伴う今後の課題

 ITを生徒の情報管理ツールとして活用している同校だが、今後の課題について、上平先生は次のように語る。
 「コンピュータの利用でデータが共有化されれば、教職歴の浅い先生や、赴任してすぐの先生にでもデータに基づいてスムーズに進路指導・教科指導ができるようになるでしょう。さらには生身の人間にしかできない指導、つまり、直接生徒や保護者の方とコミュニケーションをとることに、十分な時間をかけることができるようになります。実際、現在でも内容の濃い面談ができるようになり、進路実績が向上する一因になったという声も上がっています。ITを活用する意義はまさにそこにあると思うのです。ITをいかにうまく指導に活用するかということは、生徒や保護者とのコミュニケーションの在り方を真剣に考えることだと思っています」


写真 上平正明
長野県飯山北高校教諭
上平正明
Kamihira Masaaki
教職歴28年。同校に赴任して6年目。化学担当。進路指導主事。「IT活用できる部分は積極的に活用し、私たち教師は人としての触れ合いを大切にした指導を心掛けたい」

長野県飯山北高校
1903年創立。普通科及び理数科の共学校。全校生徒数は486名。'01年度は卒業生の75%が進学。スキー部、男子ソフトボール部はインターハイなど全国大会でも活躍している。
住所/長野県飯山市飯山2610 電話/0269(62)4175


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