教師を頼る気持ちをしっかり受け止める
授業と共に、教師には様々な業務がある。例えば校内のいろいろな連絡業務にも結構時間が割かれるものだ。こうした業務を効率化するため、それまで職員室で文書や口頭で行われていた閲覧事項や連絡事項のすべてをパソコンのネットワークに載せた高校がある。パソコンをネットワークで結ぶと、どのパソコンからでも同じ情報に接することができる機能を利用したものだ。
教師は1人1台のノート型パソコンを所有する。連絡内容や閲覧文書はすべてパソコンの「掲示板」からでないと見ることができない。その結果、連絡事項は一度で徹底できるようになった。さらにこの高校では、教師は職員室を離れる際に「在室・不在」を、また授業中であるかないかなどの情報を自分のパソコンに入力して、自分の居場所が他の教師全員に分かるようにした。
職員室に生徒が質問や相談にやって来たときに、たまたま教師が不在でも居場所が把握でき、生徒の悩みのサインを見落とさずにすむ。生徒が教師を頼りにする気持ちをそれまで以上にしっかり受け止められるようになった。この結果、生徒とコミュニケーションをとる機会が増えたと言う。
生徒がより教師に信頼感を持つことで指導力の強化につながり、それが学校全体の活性化にも寄与したのである。
情報のネットワークでタテのつながりも広がる
ホームページを持っている高校は多い。そこに掲載されている「沿革」や「カリキュラム」、「クラブ活動」などの情報は、誰でも見ることができるので、特にその高校を志望している中学生やその保護者にとっては有用性が高い。
しかし、それだけではもったいない。ホームページを中心にして、中学生だけでなく、大学生や社会人(自校の卒業生)までを巻き込んでコミュニケーションの場を形成、運営すれば、そこから得ることのできるメリットは多い。
例えば、ホームページに「○○大学の先輩の部屋」といった企画を掲載している高校がある。卒業生を貴重な人脈として活かしているのだ。
生徒は、自分の志望している大学に所属している先輩に、校風や学問の内容など自分の聞きたいことを直接電子メールで尋ねることができる。同様に、社会人の先輩に仕事内容や職業適性などを質問することもできる。進路指導の場面で、生徒の進路観の育成に欠かすことのできないツールになっていると言う。
時間と場所に関係なく、コミュニケーションが可能なインターネットや電子メールの特性を活かした進路指導の方法である。一堂に会した講演会などによる進路指導とは違い、生徒は個人の関心、興味、状況に応じて個別に情報が収集できる点も魅力的である。
このように、情報技術を活用することで、高校現場の様々な場面でコミュニケーションが進化すると共に、外に開いた新しいコミュニケーションも可能になるのである。
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