「1999年に外部の調査機関を使って学校の評価について調査を行いました。すると、『追手門学院高校では希望の大学に進学することは難しい』と考える生徒や保護者が少なからずいることが分かりました。ショックでしたね。これまで進学に向けた補習も行い、また生徒と時間をかけて面談し、進路の相談もきっちり行ってきたつもりでいましたから。教師側の思い込みと生徒の評価のギャップの大きさに反省させられました」と、土井邦孝校長は当時を振り返る。
追手門学院高校は、学習意欲・生活意欲の基になる生活指導に力を注いできた学校である。何か問題が起これば、丸一日でも丸二日でもホームルームの時間を設け、問題解決のために生徒と向き合う。この話し合いを通してお互いを大切にしようとする強い絆が育まれる。そのため、「生徒の面倒見が良い」「親しみがある」といった高い評価を受けていたのである。しかし、生徒の進路希望をかなえることができないようでは、これまで行ってきた指導も教師の自己満足に過ぎないのではないか、そうした思いが追手門学院高校の教師たちの間に広がり始め、コース制の導入が行われた。また、授業時間もこれまでの週34時間から週38時間に変更した。
「本校を受験する生徒の多くは、国公立大や難関私立大への進学を希望しています。そのニーズに応え切れていないのは、大きな問題だったと思います。問題解決には、今までよりも学習指導を重視し、授業内容も進学に特化した内容にすべきではないか、との声が教師の間でも上がっていました」とコース制導入の背景について、学習統轄委員である住谷研先生は語る。
学習統轄委員会では、「授業アンケート」「学習オリエンテーション」など、生徒の学習意欲を高めるだけでなく、教師の指導力アップを目指して様々な対策が練られている。
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