また昨年から始まった、生徒による学校紹介も好評だ。同校では毎年夏休みに、中学生とその保護者を対象とした学校説明会を実施している。そこで、1年生が自分の出身中学校の生徒を教室に集めて、同校のホームページを使って学校紹介をするのだ。その間、保護者や引率の先生には体育館に集まってもらい、教師が同じ内容の紹介をするという工夫も忘れない。
「プレゼンテーションソフトを使ってホームページをスクリーンに映し出しながら、30分掛けて説明するという形です。事前準備には2日ほど掛かりました。機器の扱い方を指導した上で、練習を2回、リハーサルを1回。出来はかなり良く、生徒だけで発表した点も好評でした」(木村先生)
参加後のアンケートでも「丁寧で分かりやすい説明だったので、下館一高の雰囲気がよく分かった」「説明を聞いて是非入学したいと思った」「先輩が一生懸命に説明してくれて、身近に感じた」などの感想が寄せられた。
同じく昨年から実施しているものに、1年生が出身中学校の先生に宛てて手紙を書くという試みがある。担任の先生や部活の先生など宛名は様々だが、概して高校生活の報告をする生徒が多い。これが10月に中学校の先生に届けられ、ときには校内に貼り出されて中学生の目にとまることもある。全中学校に生徒の生の声を届けるというこの取り組みも、同校のPRに一役買っているのである。
「私たちは特別変わったことをしているわけではありません。ただこれまで情報発信をあまり積極的にしてこなかった反省から、等身大の本校の取り組みを見てもらいたいという思いが根本にあるのです」(外山先生)
定員割れの衝撃から2年。教師の危機意識が生徒にも伝わり、生徒自身の危機意識として根付いてきたのは確かだ。それが生徒の外見や成績となって目に見える結果を残す中で、地域の信頼も徐々に回復してきた。教師と生徒が共に取り組む姿を、中学校も認め始めている。事実、03年度入試では志願倍率は例年の水準にまで回復した。
だが、「学校力向上」への取り組みは、今ようやく土台が完成しつつある段階だ。柴原先生は次のように言う。
「今後も定員割れが起きないという保証はありません。生徒はもちろん、地域へもアピールできるよう、今以上に取り組みを学校全体として強化していきたいと思っています」
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