ベネッセ教育総合研究所
指導変革の軌跡 富山県立富山南高校「進路学習」
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生徒の希望を基にOBに人選を依頼し人材を確保
 「進路探訪」は1、2年生を対象に、高校及び大学卒業後を見据えた進路意識醸成のための取り組みである。
 1年次では、同校OB・OGを中心に様々な仕事に携わる社会人を学校に招いて生き方や考え方を学ぶ「懇談会」を7月に、2年次では、東京の大学・企業訪問を中心とした2泊3日の「研修旅行」を10月に実施し、この2大イベントを軸に様々な活動を展開していく。土肥先生が進路指導主事に就任した02年度から、進路指導部が中心となって構想が練られた取り組みだが、02年度にOB・OGの社会人を学校に招いて行った、1、2年生対象の懇談会から始まり、03年度からは現在のスタイルで行われるようになった。
 同校のように企業・大学訪問や、社会人講師を招いての活動を行う高校は近年増えているものの、魅力ある訪問先、講師の確保に頭を悩ませている学校が多い。同校では同窓会と連携を取ることで、学校の状況に理解のある訪問先、講師を確保すると共に、担当の先生方の負荷軽減に役立てている。
 「どういった職種の人を招くのか、どの大学・企業を訪問するのかは、生徒に行ったアンケートを基にピックアップしています。それを基に同窓会長を通して地元のOB・OGに懇談会への協力を要請すると同時に、同窓会の関東支部を通して研修旅行の受け入れ先を確保してもらいました。私たちだと連絡を取りにくい企業であっても、同窓会の方に相談すると、そのつてで紹介いただけることもあります。同窓会役員の方の熱意に随分助けられていますね」(土肥先生)
 1年次に実施する懇談会は、全体会、分科会の2部構成。同窓会会長の講話による全体会の後、講師1名ごとに設けられた分科会へと分かれていく。03年度は13の分科会が設けられたが、前後半の2回に分けて行うため、生徒は2つの分科会に出席することができる。一般企業の他、公務員、フリーランスなど社会の第一線で活躍している人を招き、なぜその仕事を選んだのか、職業に就くまでの過程、高校時代にするべきことなどのテーマで講演、質疑応答を行うのである。
 2年次の研修旅行は全6クラス、総勢約240名が参加し、グループごとに1日目と3日目に大学訪問を、2日目に企業訪問を実施した。大学では模擬講義を受けたり、OB・OGからキャンパスライフや研究内容などについて聞いたりするなど大学生活全般に触れ、企業ではオフィスや工場を見学すると共に、業務の概要や業界の現状などについてレクチャーを受ける。英語科担当の仲井美喜子先生は、取り組みの意義を次のように述べる。
 「資料やインターネットを使って、頭で進路を考えるだけではどうしても限界があります。1年次に懇談会を通して進路適性を考え、2年次に実際に大学や企業を見て自分の将来に結び付けていく。体験を積み上げることで段階的に進路意識を高めていけるのだと思います」
「1年生向け懇談会」
「1年生向け懇談会」
03年度7月の「懇談会」には同校OB・OG5名を含む13名の社会人が招聘された。これまでにない知識や価値観に触れ、グローバルな活躍を夢見る生徒も。


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