毎学期の「学力検討会」で生徒の現状把握と指導方針を共有化 |
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ところで、学校内における生徒の学力の二極化に対応するために、従来以上に重要となっているのが教師間の連携だ。二極化する生徒の現状を正確に把握して教師間で共有化し、指導方針の足並みを揃えることがポイントになる。
同校において、現状把握や指導方針の共有化の場として機能しているのが「学力検討会」だ。学力検討会というと学期末に実施する高校が多いが、同校では各学期の初めに開いている点に特徴がある。「その学期、生徒たちはどうだったか」などの反省よりも、「この学期、生徒たちをどう指導するか」という方針決定の方に力点を置いているからである。
学力検討会のときに、検討資料として用いられるのは、模試の結果や進路希望調査、宅習時間調査のデータなどだが、教科ごとに図3のような指導計画案も作成され、討論の材料として用いられている。 |
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「各教科には、現時点における問題点とその対応策、成績上位層や下位層の生徒への具体的対応策などを書き込んでもらいます。学年担当の先生方全員で、この教科ごとに作成された指導計画案や、模試の結果などを分析しながら、『この学期は基礎力充実に力を注ごう』とか『この学年は数学が弱いから、他の教科はややセーブして数学に力を入れよう』というように学年全体の方針を決定し、更に教科ごとに指導内容の調整をしていくのです」(平山先生)
同校ではこうした現状把握や指導方針の共有化の努力を、他の様々な場面でも行っている。
例えば進路指導全体計画(図4)では、各学年の月ごとに具体的な「指導目標」を設定しており、「今月は学習習慣の確立が目標だな」というように、年間を通して教師間での指導方針の足並みを揃えやすくしている。 |
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また模試のときには、教科ごとに「偏差値○以上の生徒を□名以上にする」という数値目標を掲げることを義務付け、校内実力テストの際も、教科ごとに予想平均点を出すことを求めている。指導方針の共有化にとどまらず、生徒の学力を正確に把握する力や伸ばす力、作問力など、教師全体の指導の質を上げていくことにも注力しているのである。 |