授業では高度な「知的バトル」が展開 |
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こうしたシビアな選考だけに、各法科大学院入学者の学力レベルは総じて高い。特に、「既修者コースはかなりのレベル」とは、関係者の一致した意見だ。
「既修者コースには、司法試験の受験経験が豊富な学生が数多く入学しています。学部卒業後すぐに入学してきた者も、4年次に司法試験の短答式試験(※2)に合格している場合がほとんどです。現時点では、学部で若干成績が良かったという程度で、既修者コースに入学するのは難しいだろうと思います」(一橋大・松本教授) |
※2 現行司法試験は1次試験(大学2年修了程度の単位取得者は免除)の後、2次試験として短答式試験→(短答式合格者に)論文式試験→(論文式合格者に)口述試験が課される。短答式試験では、法律知識及び法的な推論能力を有するかどうかを判定する。 |
法学部出身者が3年制の未修者コースに入学しているケースは多く、必ずしも「法学部卒=既修者」とはならないのが現状のようだ。
優秀な学生が集まった既修者コースの授業レベルは非常に高いという。
法科大学院の教育の中心は、判例などを素材に学生と教員が議論を繰り返しながら双方向で学ぶ「ソクラテス・メソッド」。議論を重ねることにより理解を深め、論理的思考を身に付けていく手法である。
「授業では学生の方から、テーマに対する指摘や質問がどんどん飛び出してきます。既修者コースで扱うようなレベルの高いテーマになると、幾通りもの解釈が考えられるのですが、時には教員が想定していなかったような質問や指摘も出てきますね。こうした『知的バトル』を通じて学生と教員が刺激し合い、お互いを高め合っている。法学教育の原点はこういう所にあるのだと、改めて感じましたね」(中央大・森教授) |