ベネッセ教育総合研究所
シラバスの活用 教師の目線合わせにシラバスを生かす
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シラバスの活用
教師の目線合わせにシラバスを生かす
シラバス作成の大きな目的の一つが、学年、あるいは学校としての指導の目線合わせにあることは間違いない。しかし、作成当初はともかく、継続的に記載内容に基づいた指導を実践するのはなかなか難しい。「進路シラバス」を軸に指導の目線合わせを行っている、2校の事例を参考にしたい


「作った後」の活用に今後の課題
 シラバス作成の大きな目的の一つは、学年団、あるいは分掌を越えた指導の目線合わせを可能にすることである。実際、「シラバス作成の過程で教師間のばらつきが明らかになった」「シラバス作成に向けた議論の中で、体系的な指導案が見えてきた」といった声は、全国の高校現場で上がっている。
 確かに作成過程での目線合わせは、シラバスを作る大きなメリットの一つである。だが、長期的な視野に立ったときに真に問われるのは、「シラバス作成後も、きちんとそれに基づいた指導が行われ続けるのかどうか」ではないのだろうか。「シラバスを作って時間が経つにつれ、再び指導にぶれが生じてきた」といった事態に陥っては、シラバスが存在する目的を果たさなくなってしまう。


伝承、共有に向けたソフトを整える
 では、シラバスを作った後に有効に活用していくためのポイントを整理してみよう。
 まず第一に、シラバスを使い続ける、あるいは、折に触れて見直す機会をシステマティックに確保することである。後出の富士高校では、学年団全員がシラバスを確認する機会を年間で複数回設けているという。同様に、泉松陵高校においても、「シラバスの月刊化」という手法を用いて、必ず学年団全員が、月に一度シラバスに目を通す機会を設けている。このような措置を講じることは、指導の足並み揃えのみならず、シラバスの妥当性を定期的に検証する意味でも重要であろう。
 第二に、シラバスの記載内容が形骸化しないよう、生きた知識としてそれを共有・伝承そして改善するための方策が求められる。学年会、教科会などはその格好の機会であるが、富士高校の事例のように、「入試検討会」などの場もその機会となり得るであろう。
 シラバス作成が本格化して久しい。これからは、作成のノウハウを語る時代から、活用及び改善のノウハウが問われる時代になるだろう。事例校の取り組みを参考にしたい。


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