ベネッセ教育総合研究所
特集 進路学習の深化を探る
榎本良孝
青森県立八戸東高校
榎本良孝
Enomoto Yoshinori
教職歴25年目。同校に赴任して6年目。進路指導主事。理科担当。「思いの一念岩をも通す。夢を諦めずに努力する生徒を育てたい」
青森県立八戸東高校
長谷川葉子
Hasegawa Yoko
教職歴29年目。同校に赴任して15年目。教務主任。地歴担当。「李白の言葉、『人を干(おか)さず、人に屈せず』が座右の銘」
伊藤明
青森県立八戸東高校
伊藤明
Ito Akira
教職歴30年目。同校に赴任して7年目。数学担当。3学年主任。「最大限の努力を生徒に求める以上、自分も全力で生徒に接したい」
鳴海安久
青森県立八戸東高校
鳴海安久
Narumi Yasuhisa
教職歴5年目。同校に赴任して4年目。理科担当。3学年担任。「何事にも全力投球。生徒たちに正面からぶつかっていきたい」
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早期に絞り込ませずに視野を広げる活動を重視する

徹底して「なりたい自分」を深めた上で、確かな目標として位置付く「なれる自分」を描かせる。今後の進路学習を考える上で不可避なこのテーマに、学校現場はどのような指導を実践すべきなのだろうか。青森県立八戸東高校及び、佐賀県立佐賀西高校の事例から、課題解決のヒントを読み解きたい。

青森県立八戸東高校


自分の可能性への気付きを促したい
 青森県東部に位置する青森県立八戸東高校は、この4、5年で国公立大合格者数を40名前後から80名以上へと一気に倍増し、県内でも注目を集めている学校である。その躍進を支えるのは、「総合的な学習の時間」の先行実施の中で、01年度から本格的にスタートした体系的な進路学習。進路指導主事の榎本良孝先生は、取り組みを始めたきっかけを次のように語る。
 「本校では入学当初は国公立大希望であったにもかかわらず、途中で進路変更する生徒が少なくないといった課題がありました。自分なりに志望を見つめた上での進路変更であればよいのですが、元女子校ということも影響してか、『地元に残れるなら大学進学にこだわらない』といった気質の生徒や保護者が比較的多かったことも事実です。学力的には十分な実力を持ちながら、自分の可能性に気付かないまま卒業してしまう生徒が少なくなかったんですね。将来のビジョンをきちんと描き、将来像を模索する取り組みが不可欠だと感じていました」
 このような問題意識が取り組みのスタートだったと聞くと、4年制大情報提供中心の学習メニューの強化を想起する読者もいるかも知れない。しかし、その内容は学部・学科、上級学校の情報収集などを手厚く行わせるだけのものとは一線を画するものとなっている。
 「進路学習というのは、目標に向かって直線的に進むものでは決してないと思います。たとえ効率は悪くとも、何度も行きつ戻りつする中で、目標を見直し、考えを深める取り組みを3年間に渡ってきちんと続けることこそ大切ではないでしょうか。その結果として生徒が自分の思いや可能性に気付き、進路に対する思いを深めていけたらよいと考えています」(榎本先生)
 では、このような理念を具体化するために、同校ではどのような進路学習プランを構築しているのだろうか。以下でそのポイントを確認したい。


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