ベネッセ教育総合研究所
特集 導入期の集団づくり
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集団における自分の位置付けを考えさせる
 集団宿泊訓練では、集団生活の大切さを学ぶ「集団行動」と、3年間の高校生活とその先の将来について考える「生き方作文討議」が活動の2本柱だ。一つ目の柱である「集団行動」は、リーダーの掛け声に合わせて整列・行進を繰り返し、その正確さをクラスで競い合うというシンプルなもの。その狙いは「整列・行進の正確さを競うことだけではない」と、2学年主任の菅野恭介先生は強調する。
 「『集団行動』を通して学んでほしいことは、自分を客観的に捉える視点と、目的を持った行動をしようとする態度です。常に集団の中における自分の位置付けを考えることで、自分が置かれている状況を的確に把握し、自分で判断して行動することができるようになって欲しいと思っています。また、息の合った行進ができれば、集団で物事を成し遂げる喜びを感じ取ることもできるのです」
 小野高校の生活指導の3原則でもある「挨拶、清掃、時間厳守」は入学直後から指導が始まるが、合宿中も、生活指導の徹底は一貫している。集会で整列する際は前後だけでなく、左右も整っているか意識する、皆で使う下履きは向きを揃えて置く、時間厳守は基本であり、食事にしても、グループ全員が揃うまで始められない─。こうした指導は集団宿泊訓練終了以降も、徹底して行われるのだ。
 集団宿泊訓練は、20年以上続く小野高校の伝統だが、生徒の気質変化も踏まえ、指導の方法は少しずつ変化しているという。活動の意味自体を理解できない生徒が増えているため、「なぜ整列するときは前後左右を揃える必要があるのか」「共用の下履きを揃えるのはどうしてか」など、その理由を一つひとつ説明するようになった。また、一方的に教師が指示を出すのではなく、グループごとに食事や風呂などの係を設定し、自主的に行動させる部分も増やしている。集団の規律を身に付けると共に、薄まりがちな主体性をも養うのだ。


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