ベネッセ教育総合研究所
VIEW'S REPORT 未来を模索する単位制高校
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VIEW'S REPORT
単位制高校の現状を探る
未来を模索する単位制高校
多様な科目設定と、生徒による
自主的なカリキュラム設計を可能にする単位制。
この制度の強みを生かすべく、
各地の高校で試行錯誤が続いている。
2つの事例から、その未来像を考えたい。


加速する単位制高校「多様化」の流れ
 学年による教育課程の区分を設けず、決められた単位を修得すれば卒業が認められる単位制。高等学校におけるこの制度は、1988年の定時制・通信制高校でまず導入がスタートし、93年からは全日制課程においても導入が始まった。
 以来、各地で様々なコンセプトに基づいた学校づくりが進められ、04年4月現在でその数は591校を数える。単位制高校が、中等教育の重要な一翼を担っていることについては、疑いの余地はないだろう。
 だが、設置校数の増加に伴い、その設置目的の多様化を懸念する声が一部現場で出始めている。「内容を詰め切れないまま生徒集めの手段として使われているのではないか」「生徒の個性尊重よりも受験対応へのメリットが重視されているのではないか」といった声は、高校現場でもしばしば聞かれるところである。
 確かに近年の単位制高校は、当初の想定をはるかに超えた多様な形態を備えつつある。定時制・通信制高校として、より多くの就学機会を提供するために活用する学校もあれば、生徒の自主性を伸ばすために、「総合学科」のような形を実践する学校もある。また、いわゆる「進学型」の単位制高校が出現しているのは周知であろう。
 では、単位制を導入した各校では、理想と現実の接点をどのように求め、どのような学校づくりを行おうとしているのだろうか。ここでは、進学校として単位制の導入に踏み切った埼玉県立浦和高校と、定時制・通信制高校である福岡県立博多青松高校の事例から考えてみたい。
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