ベネッセ教育総合研究所
大学改革の行方 大学授業改善の実相を追う
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全教員で教養教育に当たる体制を整備
 280以上もの科目を用意し、少人数による初年次教育を実施する福井大だが、教員組織の整備があってこそ、こうした手厚い指導が可能になる。
  福井大では、99年の教養教育改革を契機に、それまで教育学部だけが担っていた一般教育科目を、教育地域科学・工の両学部すべての教員で行う体制を整えた。現在では、共通教育センターに設けられたA群・B群計10分野に対応する10の部会のいずれかに、すべての教員が所属している。総動員体制で教養教育に当たれる上、「教員の意識も高まる」と、副センター長の山根清志教授は述べる。
  「かつては工学部の学生のための基礎的な科目も、教育学部が受け持っていましたから、学生の学力問題への対応は、どうしても教育学部に頼りすぎる傾向がありました。全学で教養教育に当たることになって、一人ひとりの教員が、教養教育を担う立場から考えてくれるようになったのは大きいですね」
  04年度に実施した学内アンケートによると、教養教育や初年次教育について、7~8割の学生が「適切」「およそ適切」と評価している。一方、教員自身の制度に対する肯定的な評価は6割前後。更なる改善を加え、教養教育をより充実させていこうという気構えが、この数字に表れている。
  今後の課題は、統合したばかりの医学部を教養教育の枠組みに組み込むことだ。医学部では6年間の医学教育に適した独自の教養教育を行ってきたため、教育地域科学部・工学部との統合が遅れているという。「医工の学問領域もボーダレスになっており、早期実現が大切です」と山根教授は述べる。医学部との連携を視野に入れながら、福井大は教養教育の更なる充実に向けた改革に動き出そうとしている。

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