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改革の端緒は教師の意識改革から |
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そこで、纐纈校長がまず注力したのが「何事も生徒のために」をスローガンに掲げた教師の意識改革だった。職員会議等で事あるごとに「武義高校をどうしたらいいか」を問い掛けたが、中でも纐纈校長が強調したのは、授業改善と進路指導力の強化だった。校長自身で一人ひとりの教師の授業を見て歩き、感じたままの評価や助言を与えた。また、大学入試の在り方を把握させるため全職員を対象に、受験に精通する業者による進路の実態に関する研修会を行い、変転著しい大学入試の知識を浸透させた。更に退職した元校長による訓話など、様々な人脈も駆使して教師の意識に訴え掛けていった。
「本校の生徒は素直ですから、一生懸命授業を聞くし、分かっても分からなくてもきちんとノートを取る。だから少々授業の質が甘くても、生徒はきちんと理解してくれていると思ってしまうんです。そういう生徒の授業態度の良さに安住している教師も見受けられました。ですから、時には私学の実情に詳しい本県の元校長先生に来ていただいて、他校の授業改善の取り組みを紹介いただきながら、あえて厳しいことを言ってもらうこともありましたね。『そんな授業をしていたのでは、私学ならすぐに解雇されますよ』ということを言われて、刺激を受けた教師も少なからずいたのではないでしょうか」(纐纈校長)
こうした試みは、教師の熱意にも火を付けたようだ。進路指導主事の井之口貢久先生は次のように述べる。
「学校を良くしたい、生徒を伸ばしたいという気持ちはどの教師も同じです。出口の部分で思うような成果を出せていないという危機意識は、どの教師の中にもありました。そんな中で自分たちの授業の質を改めて考える機会を得たことは、大きな刺激になりましたね。すべての教師が今一度自らの授業を顧みて、何を改善すべきかを考えたのです。数学なら重要な部分は繰り返し教える、国語なら授業の中で音読を増やしてみる。こうした工夫が多くの教科で見られるようになりました」 |
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