ベネッセ教育総合研究所
指導変革の軌跡 京都府立洛北高校「SSH活動」
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理科と数学の関連付けで効果的な指導を模索
 こうしてできたのが図1のカリキュラムだ。
▼図1 04年度入学生第II類理数系カリキュラム図1
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  数学は1年次で学ぶ内容を「代数基礎」「幾何基礎」(05年度からはまとめて「数学α」とした)、2年次で学ぶ内容を「数学β」、3年次で学ぶ内容を「数学γ」とし、理科については、化学Iを「自然科学基礎」、化学IIを「物質科学」、物理I・IIを「エネルギー科学I・II」、生物I・IIを「生命科学I・II」とし、それぞれ洛北サイエンスという学校設定教科として、図1のように3年間の流れの中に組み込んだ。
  カリキュラム策定で最も重視したのは、言うまでもなく教科間の関連付けだ。例えば、「代数基礎」で実施した「三角関数と音」は、「関連付けの最も成功した例」(京崎教頭)と言える。通常、三角比と三角関数は別個に扱うが、「代数基礎」では三角比を学んだ後、すぐに三角関数へと広げ、更に三角関数のグラフをパソコンを使って作成。その後、三角関数の応用例として、振幅の変化で音の大小が決まることや、作成したグラフを音で表現するとどうなるのかをパソコンで確かめるなど、本来物理で扱う「音波」と関連付けを行っていった。
  また、数学・理科などの自然科学以外の分野への広がりも持たせた。
  「本校の基本コンセプト『サイエンス』の趣旨に照らせば、単に数学・理科だけの洛北サイエンスであってはいけません。そのため、表現能力や課題設定能力の育成、情報処理など、従来『総合的な学習の時間』で扱っていた内容も、できるだけ洛北サイエンスの中に採り入れるようにしています」(野村先生)
  教科間・科目間のつながりと共に、各単元を実施する時期についても工夫を凝らした(図2)。例えば、2年次に物理(エネルギー科学I)を学ぶ上で、1年次に三角関数を知っているのは重要である。また、1年次で化学(自然科学基礎)を学ばせる以上、通常2年次に学ぶ指数のゼロ乗やマイナス乗などは、1年次で教えておく必要もあるだろう。数学IAやIIB、化学IやIIなど、科目の枠組みを取り払っているのは、そうした教科内の関連付けを促進する狙いもあるのだ。

▼図2 洛北サイエンス年間学習指導計画例(1年次数学)
図2
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  更に、普通科におけるSSHというハンディを克服する意図もあると、物理担当の弓削亨先生は述べる。
  「普通科の中で理数教育を行っている関係上、本校の場合、一般の理数科に比べてどうしても時間的なハンディが生じます。特に化学は1年次から実験を数多く採り入れていますし、2年次では物理や生物においても基礎学力の定着を図ると共に、実験も多く行う計画をしています。単元を効率的に配置していくことは、生徒の理解にとっても、進行上の問題としても重要なことなんです」


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