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教員の意識変革が学校の未来を変える |
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数学・理科の「横のつながり」と、効果的な実施時期の模索という「縦のつながり」を検証し、理数教育の新たな姿を追求する洛北高校。その成果は徐々に現れており、SSH対象生徒である第2類の生徒の各種データの過年度比較によると、学力伸長や興味・関心の伸びが見られたという(図3)。 |
▼図3 第II類理数系生徒の偏差値分布比較
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更に大きな変革を遂げたのが教師の意識だ。京崎教頭は「教科の関連付けについて成功したと言えるのは『三角関数と音』だけではないか」と控えめの評価をしているが、1年間に渡って取り組みを推進する中で、「洛北サイエンス」の更なる深化に向けた具体的な課題が見えてきているのも事実。物理の「万有引力」の単元の中に地学の「宇宙物理」や「天体」を組み込んではどうか。複素数を教える際、発展的な複素数平面の内容まで踏み込むべきではないか――。教師たちは数学・理科の更なる関連付けに思いを馳せる。
「04年度は、なかなか時間が取れず、数学と理科の教員同士が膝詰めで話し合う機会がほとんど持てませんでした。そのため、各教科別々に指導案を策定していきましたが、これまでの活動から具体的な課題が見えてきた分、05年度はカリキュラムを更に精緻なものにできるのではないかと思っています。そのためにも、数学と理科の教師が一層緊密に連携していく必要があるでしょう」(野村先生)
更にこれからは、数学・理科以外のすべての教師が、SSHを学校全体の取り組みとして考えることも重要になってくるという。表現力やプレゼン能力を育成するには、論文指導や英語力強化の取り組みが必要だ。国語や英語、社会の教師も含め、学校全体でSSHを推進していくことが大切だという。
「教師の全員体制を構築することがSSHの成功につながり、ひいては『サイエンス』を機軸とした学校改革の原動力ともなるのです」と、京崎教頭は強調する。
「サイエンス」の旗印の下で、再スタートを切った1年間。学校が大きな節目を迎える中で、教師たちは自分自身も変わりつつあることに気付き始めている。
「サイエンス部の生徒と一緒に放課後に実験をする、他教科の先生方と、教科の在り方について話し合う。これまですることのなかった体験をしているのも、SSHがあればこそ。こうした体験の一つひとつが、生徒の学力向上だけでなく、我々の指導力にも大きな力になっているのではないでしょうか。そして、教師一人ひとりの指導力向上の積み重ねが、学校全体のレベルアップにもつながっていくのだと思います」(弓削先生) |
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