現場と共に考える生徒Q&A 夏休みの指導

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現場と共に考える 生徒指導Q&A

夏休み前後の指導

生活習慣の乱れ、学習意欲の低下を元に戻すには?

Q. 生活態度の乱れ学習意欲の低下を元に戻すには

 例年、夏休み明けは生徒の意識が緩みがちで、いつも手を焼いています。特に目立つのは生活態度の乱れ。遅刻・欠席が目に見えて増えるばかりか、制服のボタンを外したり、髪を茶色に染めてくる生徒もいるなど、服装・頭髪の乱れも目に付きます。また、授業中の居眠りや私語、忘れ物が増えるなど、学習意欲の低下や授業への集中力の欠如も見られます。
  このようなことがないよう、夏休み明け最初の全体集会やHRで注意を促すのですが、一向に効果は上がらず、毎年同じことの繰り返しになってしまいます。
  夏休み明けに緩んでしまった生徒の意識を元に戻すための良い方法はないでしょうか。また、緩ませないために夏休み前や夏休み中に教師がしておくべきことがありましたらご教示お願いします。

女性。教職歴7年目

A. 夏休み前の事前指導が効果的

 夏休み明けに、生徒の生活習慣が乱れることは目に見えているのだから、本来は、夏休み前の指導、夏休み中の指導を徹底することが最も重要であると思う。
  特に本校では、頭髪と服装の乱れがひどいので、いかに個別に事前に言い聞かせるかがポイントになっている。夏休み後にどうにかすることを考えるより、前に何をすべきか、何ができるかを考える方が大切ではないだろうか。
  事前に指導を徹底しておけば、夏休み明けは、「あれだけ言っていただろう」とある程度、教師側が強い立場で指導できるし、特別な指導ではなくても立て直せるはずである。
  それでも生活習慣が改善しない生徒が、例年数名は出てくるが、そういう場合は個別面談を行い、更に欠席が目立つ生徒に対しては、家庭訪問を実施している。家庭訪問をすると生徒と保護者に「教師の本気度」が伝わるのか、その後、生活習慣が改善される生徒が多い。
  私は、生徒指導は「いかに生徒に手をかけるか」が大切だと思っている。教師は授業だけでなく、いろいろな業務で忙しいが、それを言い訳にして、生徒へ手をかけることを怠ってはならない。
  夏休み明けも、忙しい時期だが、生活習慣改善のために何をすべきかを悩むだけでなく、少しでも多く生徒に接する時間をつくることが重要なのではないかと思う。

男性。教職歴13年目

A. 個人面談で生徒と一緒に考える

 夏休み明けから始めたものではないが、私は、始業時間10分前に生徒を登校させて、朝読書を実施している。SHRの時間が短く、朝読書をやらせる時間を確保するために、やむを得ずこのような形になった。4月当初から始めたこともあり、生徒の反発もほとんどなく、スムーズに実施できた。実際に、このような形で実施すると遅刻もほとんどなく、授業にも落ち着いて取り組むなど、様々な面で効果がある。夏休み明けから行うと、生徒からの反発があるかも知れないが、朝読書の効果は期待できるので試してみてもよいのではないかと思う。
  また、夏休み明けの実践としては、SHRで「1週間で元の状態に戻すこと」を必ず言うようにしている。休み明け1週間以内にクラス全員に対して、簡単な個人面談をして生徒の状況を把握し、それぞれの状況に合わせてアドバイスをしている。朝の時間や放課後を活用して、一人につき10~15分程度行う。ここでの確認事項は、(1)夏休みの課題は提出できているか、(2)夏休みの勉強時間はどれくらいか。この2点を聞けば、夏休み中にどのような生活をしてきたのかは大体把握できる。
  確認事項だけでなく、生徒の雰囲気でも判断している。私は年に10回以上、生徒との面談を実施しているが、生徒の視線がいつもと違う場合は要注意だ。1週間で元の状態に戻っていないと判断した生徒については、再度個人面談(ある程度の時間をかけて)を実施し、気持ちを引き締めるように指導している。この面談は、学校生活に戻りきれていない生徒に対してのものなので、お互いが納得するまで根気強く行う。何が原因なのかをよく聞き、どうすれば改善するかを一緒に考えている。夏休み明けは、生徒が成長していたり、悪い方へ変化していたり様々だ。元の学校生活に戻すためには、直接生徒に働きかける面談が、一番効果があると感じている。

男性。教職歴8年目

A. 保護者や先輩の力を借りて意識を高める

 夏休みに限らず、長期休業明けは、指導が最も大変だと感じる。だらだらする生徒は、2週間、下手をすると1か月くらい生活習慣が乱れた状態の場合もある。
  そこで、昨年度実施してみたのが「クラス通信の工夫」だ。まず、夏休み直前号の工夫で、内容は夏休みの過ごし方や課題について。年度当初から、クラス通信は必ず保護者にも見せるように指導している。そこで、誌面の最後に「保護者の方へのご連絡」を掲載し、夏休み中の生活習慣の徹底のお願いと、夏休み明けに生活習慣が乱れている生徒の保護者には、3者面談を実施する旨を書いておいた。
  続いて、夏休み明け最初のSHRで配付する号も工夫した。内容は先輩の経験談。夏休み中に昔の教え子にお願いし、「いかに長期休暇明けの切り替えが大事か」をテーマに書いてもらったのだ。「失敗談」と「成功談」を二つずつ掲載した。
  このような二つのクラス通信を配付した結果、例年の夏休み明けより比較的早く、クラスを通常の状態に戻すことができた。教師が徹底して、直接指導することはもちろん大切だが、それに加え、保護者や先輩の力を借りていくことは、非常に有効なことだと思う。

女性。教職歴15年目

A. 毎朝の登校指導が効果的

 特に遅刻対策についてだが、本校では、年間を通して毎日、校舎玄関前に教員が立ち、登校指導を行っている(朝の挨拶、服装指導も兼ねている)。多少手間ではあるが、遅刻対策としては、この方法が一番よいと思うがどうだろうか。
  なお教員は、生徒指導部と各学年の担任と他分掌という構成で実施している。これまで行っていない学校が、夏休み明けに急に始めるのは、教師にとっても負担が大きいと思うが、遅刻がなくなるだけでなく、挨拶や服装指導も同時にできるので、生徒の休み明け気分を切り替えさせるには、効果的な取り組みなのではないかと思う

男性。教職歴20年目

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