「校長!校長!」と生徒からわき上がるラブコール。
これは学園祭の開会式で私が舞台に登場したときの状況です。そして話が始まれば、水を打ったような静けさ。何と素晴らしい生徒たちでしょうか。校長としての幸せとやりがいを体一杯に感じる瞬間です。
ややもすると校長が生徒に接するのは、始業式や終業式などでの挨拶が中心となり、廊下などで生徒に会った時は、外来者と勘違いされることもあるのです。
私の学校経営は「生徒中心」であり、生徒のために校長として何をすべきであるか、何ができるのかが原点なのです。
3年生には全員、校長室での校長面接を実施しています。一人では緊張する生徒もいるので数人のグループで、将来の夢、困っていること、学校で改善してもらいたいことなどを尋ねます。昼休みと放課後を活用しますが、300人以上となると、一学期すべてを要することになります。そして、面接の最後には一緒に記念撮影をするのです。この写真は、卒業式に私からのメッセージを添えて渡すことにしています。
私は数学が専門です。05年は土曜日に3年生対象の校長講座を開設してもらっています。生徒も親しみを持って受講してくれています。時には校長室へ数学の質問にも来てくれます。廊下を歩いていると「教えて」と生徒が声をかけてくることもあります。
また、放課後は時間の許す限り部活の見回りをすることにしています。生まれて初めて弓を引きましたし、アーチェリーにも挑戦しました。卓球、テニス、できそうなものは生徒の中に入って一緒にやってみました。
学校行事にも積極的に参加するようにしています。勉強合宿では先生方と一緒に生徒に教えました。修学旅行ではグアムに同行し、生徒と一緒にシュノーケリングもやりました。また、スキー合宿では生徒と一緒に滑り、学校ではできないおしゃべりにも興じました。
私はほとんど校長室にいません。職員室にいるか、校内巡視をしています。先生方の授業もよく見ます。職員室では先生方とよく雑談をします。教育談義もします。先生方とざっくばらんな会話ができ、その中からアイディアが出てくる、このような関係の確立こそ教育改革の基盤と言えるのではないでしょうか。
本校は05年、スーパーサイエンスハイスクールの研究開発校、中高一貫校開設の準備、校舎改築、06年度の100周年記念の準備など、この上ない多忙を極めていますが、教員が一丸となり取り組んでいます。校舎改築のため、校長室も事務室と一緒に普通教室に同居しています。
不便な生活が続いていますが、そんな中にも教員、生徒の生き生きとした姿が満ちています。
私にとって、先生方にも生徒たちにも親近感を持って受け入れてもらえる校長という立場は最高の幸せなのです。
今日も学校からの帰り、「校長先生! さよなら」と手を振る生徒たちに囲まれています。
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