ベネッセ教育総合研究所
SSH指定校レポート
PAGE 6/30 前ページ次ページ


生徒の純粋な興味を突き詰める理数ゼミ
 広島国泰寺高校のSSHの取り組みでは、「04年度スーパーサイエンス生徒研究発表会」において最優秀賞の文部科学大臣奨励賞を獲得した理数ゼミの活動も極めて重要である。多くの生徒の科学に対する素地を養うことが理数研究の目標であるなら、この理数ゼミの目標は本当に好きなこと、興味があることを突き詰める場として機能することだ。
 「理数ゼミは課外活動ですが、理数コースの生徒は全員、普通科の生徒は希望者の参加になっています。計199名が所属していますが、実際に毎日熱心に参加している理数コースの生徒は3分の1から4分の1くらいで、他の運動部や文化部の活動を優先している生徒が多いのが実状です。しかし、私はそれでいいと思っています。大切なのは全員にまず、参加するチャンスを与えること。課外だからこそそれを生かすかどうかは、個々の興味に任せた方が良いと考えています。」(小西教頭)
 全員参加という形にこだわるのは、生徒に「興味を持ったときは参加できる」ようにしておくため。実際、著名な研究者の講演会や生徒による研究発表会などが行われるときには、普段は理数ゼミの活動に参加しない生徒も出席し、意見や感想を述べるという。
 「自由だからこそ主体性を発揮し、興味・関心の度合いを高めたことで結果的に高いレベルの研究が実現できるのだと思います。理数ゼミは普通コースの生徒も参加できるのですが、中には普通コースから参加している生徒の方が意識が高く、理数ゼミの取り組みをリードしているケースも見られます」(柞磨先生)
 各活動の結果をまとめたり、取り組みを通じて先端科学に触れた感想を話し合うなど、理数コースの生徒たちはレポートや発表の機会が格段に多い。その結果、理数コースの生徒たちの表現力が伸びてきていることを広島国泰寺高校の教師たちは強く実感しているという。
 「校内の小論文コンクールで、理数コースの生徒が優秀な成績を収めるケースが増えてきました。客観的な事実を取り入れながら、論理的に文章を展開できるようになっているのでしょう。普通コースでも国語や『総合的な学習の時間』での表現力育成指導において、SSHの実践をフィードバックし、理数コース、普通コースともに指導力をもっと高めていくのが今後の目標です」(小西教頭)
 SSHの活動を通じて、校内の改革に取り組む広島国泰寺高校の今後が大いに期待される。

PAGE 6/30 前ページ次ページ
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse