ベネッセ教育総合研究所
SSH指定校レポート
愛知県立一宮高校
愛知県立一宮高校
今年度で創立86年目を迎える、愛知県尾張地区を代表する伝統校。「質実剛健」を校訓に、人間性豊かな生徒の育成を目指した教育を展開する。東京大、名古屋大をはじめ、全国の難関大に多数合格者が輩出する進学校であり、学校行事や部活動も盛ん。03年度からSSH指定校(05年4月時点で3年目を迎える)。

設立 1919年(大正8年)
形態 普通科・被服科
生徒数(1学年) 約400名(うち被服科40名)

04年度入試実績 国公立大には東京大25名、名古屋大87名、京都大9名など295名が合格。私立大には、慶応義塾大22名、早稲田大34名、同志社大32名、南山大94名を含む延べ578名が合格している。
住所 愛知県一宮市北園通6‐9
電話 0586(72)0191
URL http://yariko.kir.jp/
内藤春彦
愛知県立一宮高校校長
内藤春彦
Naito Haruhiko
教職歴32年。同校に赴任して2年目。担当教科は生物。「『試練とは、自己を克服する絶好の機会である』という信念が持てる生徒の育成を目指しています」
田中基夫
愛知県立一宮高校教頭
田中基夫
Tanaka Motoo
教職歴29年。同校に赴任して4年目。SSH研究推進部委員長。担当教科は化学。「学校は学業に励むべき修養の場。リーダーたるにふさわしい智徳体に優れた生徒を育成したい」
森節隆
愛知県立一宮高校
森節隆
Mori Setsutaka
教職歴25年。同校に赴任して3年目。担当教科は生物。「生徒の身近な現象を多く取り上げ、ヒトを中心に据えた楽しい生物の授業に努めています」
山崎武嗣
愛知県立一宮高校
山崎武嗣
Yamazaki Takeshi
教職歴20年。同校に赴任して13年目。担当教科は数学。「真理を探究し、善や美を追究する志、他人の言葉に耳を傾ける謙虚な姿勢を、生徒に身に付けてもらいたいです」
川口光正
愛知県立一宮高校
川口光正
Kawaguchi Mitsumasa
教職歴21年。同校に赴任して2年目。担当教科は物理。「目標に向かって前向きにチャレンジする精神と、主体的に生きる力を育む指導を心掛けています」
高村裕三朗
愛知県立一宮高校
高村裕三朗
Takamura Yuzaburo
教職歴24年。同校に赴任して5年。担当教科は数学、情報。「いろいろな手法で生徒と共に考え、問題解決にあたり、生徒の科学的思考力を高めていきたいです」
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SSH指定校レポート
愛知県立一宮高校
高大連携をカリキュラム内に組み入れ、集団を高める

学校における位置付け
学びの原動力を広く生徒に与える
 一宮高校がSSHの目的として掲げたのは「21世紀にグローバルに活躍できる“科学者の卵”を育てる」ということである。そこで同校では、
I 創造性や科学的リテラシーを培う教育課程の開発
II 大学・研究機関などの高等教育機関との高大連携を生かした授業の改善
III 論理的思考力・プレゼンテーション能力・英語での表現力の育成
という三つの課題を設定した。
 「そして、これらの課題に取り組む前提として私たちが重視したことは、『興味・関心こそが学ぶ原動力』という真理です。興味・関心の高まりによって学びに向かった経験は、将来、生徒が文系・理系どちらの進路に進むにしても、普遍的に生きる力となるはずです。SSH初年度である03年度の取り組みは、一人でも多くの生徒に科学の面白さを幅広く知ってもらうことを目標にスタートしました。そのため、特別なコースを設けるのではなく普通科の教育課程の中で完結するプロジェクトを指向しました」(内藤春彦校長)
 一宮高校のSSH事業は、
(1)「スーパーサイエンス概論(1年)・基礎(2年)・発展(3年)」など教育課程の中で実施される活動
(2)課外で実施される「研究機関等での研修やセミナー」
(3)「大学などでの実験講習会」
(4)「自然科学部の活動」
という大きく四つの領域で構成される。
 「広く生徒の興味・関心を高める本校のSSHの特徴は、教育課程の中で実践するという点にあります。学校設定科目『スーパーサイエンス』は、1年次は全員、2年次以降も理系選択者は全員、いずれも時間割の中で実施されます。そのため、時には高校の履修レベルを超える内容の授業を、いかにして多くの生徒が理解できるように展開していくかが、大きなテーマとなりました」(内藤校長)
 カリキュラムの中で集団の底上げを意識したプランに一宮高校がこだわった背景には、一つの経験があった。
 「SSHの指定前年の02年度に、SPP(注)を活用して、科学の最先端に触れることを狙い、課外活動の一環で、希望者を対象に大学の研究室での実験やディスカッションなども含む連携プログラムを実施しました。生徒への事前指導を含め、できるだけの準備をして臨んだ結果、『面白かった。感動した』と答えた生徒が予想以上に多く、反響が大きかったのです。より大規模な全員を対象とした計画にしようという思いが強まりました」(田中基夫教頭)
※SPP/サイエンス・パートナーシップ・プログラム。02年度から「科学技術・理科大好きプラン」の一環としてスタート。SPP事業の中心となるのは、「連携プログラム」の実施。大学、研究機関など科学技術を研究している中・高校などの教育現場との間で実験・観察・体験を重視した連携をサポートする。
 高大連携プログラムを全員対象で生徒の理解力・思考力が身に付くプランとするためには、時間をかけた事前・事後指導、少人数グループでの実験体験などが効果的だ。その手段として、カリキュラム研究も含め、時間をかけて全員対象で実施できるSSHを活用すべきと一宮高校は判断したのだ。
図表

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