ベネッセ教育総合研究所
入試選抜の変化を探る
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東北大
AO入試導入を振り返って

 工学部のAO入試の評価を中心に、高等教育開発推進センターの3人の先生にAO入試導入5年目を振り返ってお話をうかがった。
 学生の追跡調査などを踏まえて、工学部ではAO入試の成果を前向きに評価しているという。
「AO入試を経て本学で学んだ学生が、03年度初めて学部を卒業しました。AO入試の学生の特徴ですが、初年時のミスマッチ(休・退学率)の出現率の低さが挙げられます。工学部における過去8年間の推薦・AO入試入学生1,529名の中で、1年目の休・退学者は1名のみ。学びに対する意欲や目的意識も含めて評価するAO入試の導入で、不本意入学を減らせたことは一つの成果と捉えています」(鈴木敏明先生)  大学の学びに対する意識の高い、推薦・AO入試の学生は学業面でも活躍ぶりが目立つと荒井克弘先生は指摘する。
 「工学部で推薦・AO入試で入学した生徒の学部4年間の学業成績の追跡調査では、上位10%、20%層の出現率は全体平均よりも高いとの結果が出ました。また、卒論指導を行った先生方に、担当した学生の将来研究者として伸びる資質について、アイディアの良さ・リーダーシップの発揮・センスといったいくつかの観点から聞き取り調査したところ、総じて一般選抜の学生と比べて明らかに良い傾向にある、という結果になりました。工学部だけでなく、法学部や理学部、歯学部においても、AO入試の学生に対する評価は概ね良好です」
 AO入試の総括は工学部では毎年行われ、翌年の入試形態の改善につながっているという。こうした総括の積み重ねを、今後の入試・入学後教育での改善につなげていきたいと石井光夫先生は言う。
 「アドミッションズ・オフィスも兼ねている本センターですが、入試の企画・評価だけでなく、入学後のカリキュラム開発や高大連携などを含めて、『面としての接続』を考えることもミッションの一つです。高校を訪問し、高校が大学との接点を求めていることは強く感じます。学習指導要領が最低基準となり、大学側も高校の実態を知りたいとの思いを強めています。トライ&エラーの連続でしょうが、高校とのチャネルは多く保っておきたいですね」
入学者の追跡調査 ―初期適応(1年次の休・退学)の状況(工学部の場合)―
図表
※前期日程の入学者における休・退学の出現度を「1」とした場合での比較。


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