現場と共に考える生徒Q&A 高校生活の導入期指導

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現場と共に考える 生徒指導Q&A

高校生活の導入期指導

高校生らしい学びの姿勢をどう身に付けさせるか?

Q. 導入期指導をどのように組み立てるか?

 これまで特に「導入期指導」と呼べるようなものを行ってこなかった本校でも、ようやく06年度から、2泊3日の新入生合宿を実施することになりました。生徒はもちろん、教師の意識改革にも、大きな効果が上がるのではと期待しています。
  とは言え、本校の取り組みはまだ始まったばかりです。入学者オリエンテーションや保護者会の見直し、生徒との最初の面談の進め方なども考え直さなければなりません。また、生徒の意識改革をうまく学習行動につなげるために、授業方法の改善も必要になってきます。
  既に一定の実績を積み重ねている学校では、どのようなことに留意して導入期指導を組み立てていらっしゃるのでしょうか? 是非参考にしたいと思いますので、取り組み内容やアイディアについてお聞かせください。

教職歴14年目。女性。

A. 学習集団としての意識改革を重視して合宿を実施

 本校では入学式の次の日から2泊3日の合宿を行っている。学年団結成から日も浅く、日程的に厳しい面があるのは事実だが、「鉄は熱いうちに打て」の精神で、あえてこの時期に設定している。
  合宿のメニュー自体は他校と比べてそれほど特徴のあるものではないと思う。だが、本校の教師の意識としては、学習姿勢の確立以上に、「学習集団」としての生徒の意識改革を目指して取り組んでいる。教師に対する言葉遣いや5分前行動、提出物の期限厳守などは、特に集中して指導する。私が学年主任を務めた際は、先生方には努めて厳しい姿勢で臨むようにお願いしておき、一人でもルールを破ったものがあれば、クラス全員に対して指導を入れた。また、出し物など、クラス単位で動く機会を極力取り入れているのも、「集団のまとまり」を高めるための工夫である。
  一方、合宿最終日には、研修所から学校までの15km程を、全員で歩いて帰校する。無言で歩く中で、これからの高校生活について考えを深めたり、仲間と励まし合いながら困難を乗り越える体験を積ませることを狙っている。
  新入生合宿の目的は学校によっていろいろあると思うが、あまりにもハウツー的なものに流れてしまうのもどうかと思う。個人的には、高校生としての意識改革を図ることが、この時点では何より大切なのではないかと思う。

教職歴22年目。男性。

A. 面談週間を実施して生徒との信頼関係を築く

 本校でも5、6年前から新入生合宿を実施している。だが、ある時期から、合宿などの「ショック療法」だけに頼りすぎては、その後の学習意欲の維持は難しいと感じるようになった。特に、ゴールデンウィークを緊張感を持ったまま乗り越えさせるのはなかなか難しかった。そこで本校では、きめ細かな面談でのフォローを、今一度、導入期指導の一つの柱として見直すことにした。
  特に大きな見直しをかけたのは、4月の中旬から5月にかけて実施してきた「面談週間」だ。従来は、決まっているのは実施期間のみで、生徒と話す内容は教師によってバラバラだった。それを改め、事前に学年団で面談のポイントを目線合わせするようにした。
  具体的には、スタディーサポートや入学時の実力テストの結果を、一度学年会で話し合ってから面談に臨むようにしている。とりわけ生徒の生活習慣は詳細にチェックし、家庭学習習慣がきちんと身に付いているかどうかを重点的に見るようにした。また、生徒にも事前にオリジナルの「面談帳票」を配り、面談で相談したいことや健康上・宗教上の配慮点などをあらかじめまとめさせるようにした。面談前の生徒把握を徹底することで、面談一回一回の質を高めたわけである。
  実際、こうしたスタイルで面談を行うようになってから、生徒と話す内容が格段に濃くなったように感じている。授業の予復習の方法や、学習量の目安なども、一人ひとりの生徒の成績や生活実態に即して話ができるようになった。以前のように「最近どうだ」「学校には慣れたか」といった漠然とした声かけで終わってしまうこともなくなった。
  一過性の取り組みだけに頼らず、きめ細かに生徒をフォローできるアプローチがあってこそ、導入期の指導はうまくいくのではないかと思う。

教職歴18年目。男性。

A. 学年間交流の仕掛けを組み込んだコース別合宿を実施

 導入期指導の核として、本校でも7年前から新入生合宿を実施している。しかし、立ち上げ当初の1、2年はよかったものの、3年目あたりから、なんとなく教師側にマンネリ感が漂うようになってきた。
  そこで、打開策として取り入れたのが、合宿の要所で、2、3年次の生徒にも何名か登場してもらうことだった。家庭学習の重要性はもちろん、各教科の予復習の細かな方法についても、2、3年次の生徒に説明してもらっている。教師が説明してもよい部分ではあるが、新入生には、「1年後、2年後の姿をより具体的にイメージできる」と好評である。その効果があったのか、合宿終了時に書かせる「高校生活の抱負」という作文も、以前よりは具体的な目標が書ける生徒が増えてきたように思う。
  また、合宿をコース別に行うようになったのもここ数年のことだ。本校では入学時に志望進路に応じた三つのコースに生徒を分けているため、学習方法や生活パターンには少なからず差が生じる。そこで、以前は学年全員で行っていた合宿を、思い切ってコース別に実施することにした。コース特性を反映したメニューが組めるようになると共に、日程の調整などもフレキシブルにできるようになった。

教職歴20年目。女性。

A. 小テストの徹底で学習姿勢の確立を促す

 本校では毎週4回、朝のSHRの時間を使って小テストを実施している。高校生活導入期には、特に、「テストはできて当たり前」という意識を持たせることを目標にしている。
  受験勉強はこつこつ努力して少しずつ頑張り、上を目指そうという意識が大切なので、合格ラインの8割を超えられなかった生徒については、追試で9割をクリアすることを目標にさせる。合格するまでの間は、もちろん部活への参加も認めない。
  導入期指導の成否を一概に言うのは難しいが、個人的には「少しでも高い目標を目指して頑張る」という意識を持たせられれば、ひとまず成功だと思う。

教職歴25年目。男性。

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