中学校の現場から 学習習慣の定着

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 4/4 前ページ

朝学習で取り組む内容も生徒自身が決める

 自ら選んだ課題に向き合う機会を設けているのは、チャレンジャーノートだけではない。毎日20分間の朝学習では、次の3原則を掲げている。
(1)自分で課題を見つける…どんな目標を持って何をやるか、自分で決める。
(2)1人静かに学習をする…私語や相談をせず、集中して学習する。
(3)鉛筆を持ってノートに書く…教科書を読むだけの勉強ではダメ。とにかく書く。
  プリントは一切配らず、生徒は自分のノートに自ら選んだ課題に取り組む。
  「朝学習で生徒は落ち着きます。この流れで1時間目の授業に入れるため、1日の良いスタートが切れます。朝学習のノートも毎日教師がチェックしています」(田澤先生)
  自主学習の習慣は生徒にかなり浸透しているが、「学力の低い生徒へのフォローに関しては課題がある」と、教務主任の碓氷勉先生は話す。
  「学力の低い生徒でも家庭での学習習慣は身に付いています。しかし、必ずしも学力の向上に結び付いていないのが現状です」
  そこで、ここ5年ほど続けているのが「ミニ家庭教師プロジェクト」だ。これは、クラスや担当教科にかかわらず、1人の教師が学力の低い生徒2~3人を担当し、個別指導で基礎学力の定着を図るものだ。最低限、九九、割り算、基本的な英単語を定着させることを目標にしている。
  「これにより学力が向上する生徒もいますが、なかなか時間が取れず、全員を見ることができないことが課題でした。今年度の1年生では生徒1人につき教師1人をつけて実施するように変更しました」(田澤先生)
  鶴岡第二中学校では、中3の夏休み以降、進学塾に通う生徒が6割前後に上るという。ただ、それ以前の時期に高校受験を視野に入れて塾に通う生徒はほとんどいない。一部、補習的に通う生徒がいる程度だ。学校内での充実した学習指導の下、平均学力はここ数年、地域でもトップクラスになった。
  チャレンジャーノートや朝学習のチェックなどのほか、生徒が毎日書く「1行日記」にもコメントを返すなど、教師たちは多忙を極めている。それでも「何とかしよう」という教師全体の意識が原動力になっていると、碓氷先生は見ている。
  「生徒にやらせっ放しにするのではなく、どの取り組みでも最後まできちんと見届けています。あるクラスだけ、ある学年だけといったバラバラの状態ではなく、学校全体が組織的に動いていることが、学習習慣の定着につながっていると感じています」


  PAGE 4/4 前ページ