変わり始めた高校の英語教育
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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a round-table talk on SELHi
研究事業としての課題

外部ネットワークの整備で研究が本業ではない教師をどう支援していくか

金谷 確かな成果が見られる一方で、さまざまな課題が見えてきたことも事実です。セルハイという取り組みを一過性のもので終わらせるのでなく、今後の英語教育の改善に確実につなげていくためにも、浮かび上がってきた問題を整理したいですね。
松本 私もいろいろな課題を感じていますが、まず挙げたいのは、セルハイを「研究」という概念でしっかりと捉えている高校が少ない、ということです。例えば、研究授業も、「その授業がどう盛り上がったか」という狭い視野で評価されることも少なくないようです。しかし、自校の英語教育にどんな課題を見つけ、その改善のためにどう取り組んでいるのかということが明確になっていなければ、研究にはなりません。
金森 確かにそうですが、日々の授業が最大のテーマであり、本来研究者ではない高校の先生が、「研究としてのセルハイ」に取り組む難しさはありますね。
金谷 研究と実践が混同されてしまった観はありますね。これは、セルハイ申請の時点で学校側が「あれもこれも」といろいろ取り込みすぎたことも原因の一つではないでしょうか。もっとテーマを絞って、例えば、「うちの学校はスピーキングだけで研究したい」といった申請も受け入れる仕組みをつくることが必要かも知れません。
松本 セルハイ申請の前に、外部指導者に「このテーマで研究が成立するか」を相談できれば、研究活動としての見通しを立てて3年間の取り組みをスタートさせることができます。
吉田 外部指導者という意味では、教育委員会の指導主事との連携も大切ですよね。
金谷 そう思います。ただ、何をやるにしても指導主事がリードしすぎて「教育委員会に聞かないと」となってしまった学校もあるようですから、学校の主体性が確保できるような配慮が必要です。
松本 自治体のバックアップがもっと必要だという意見は、私も賛成です。セルハイ研究の中心となって活動している先生を異動させたりするのは、研究の継続性を阻害するものです。そのような自治体は、セルハイを軽視しているのかとさえ思います。
金谷 いずれにしても、私たちが想像している以上に、高校には外部からのアドバイスを受けるためのネットワークが整備されていなかったのが事実だと思います。もちろん、セルハイにはネットワークそのものを構築する役割もあったわけですが、多忙な先生方が「セルハイなんか面倒だからやめる!」とならないようなサポートづくりがもっと必要だと思います。申請書の作成一つとっても、もっと先生方の負担を軽くすべきではないでしょうか。

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