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研究内容
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滋賀県立 米原高等学校

研究内容1:「読む」力を伸ばすための指導
■実証したい理論や仮説
ラウンド制を活用したレッスンにより、読解力の養成と言語材料の内在化を図る。
○取り組み目標
英語I・IIを、高等学校3年間で英語の4技能をバランス良く伸ばすための基礎力をつけさせる科目 と捉えた。そのためには、次の3つのことが必須であると考えた。
 1.読解のための基本技術と情報収集能力を習得させること。
 2.基礎的な英語のインプットとコミュニケーション活動によりそれらを定着させること。
 3.学んだことを自己表現の道具として使用できる段階にまで密着させること。
これらの点を各レッスンで実現させるための効果的な指導手順を構築することを目標とし、京都教育大学教授・鈴木寿一氏に御指導いただいた「ラウンド制」を取り入れることにした。

○脱却したい授業モデル例(1レッスンが、導入部分と本文Part 1~4、章末問題で構成されている場合)
第1時限 レッスンへの導入
第2時限 Part 1
第3時限 Part 2
第4時限 Part 3
第5時限 Part 4
第6時限 文法事項のまとめ
第7時限 コミュニケーション活動
第8時限 章末問題

○ラウンド制による授業モデル
第1時限   導入とレッスン全体のパート毎の概要把握(生徒に予習を求めない)・(パートごとのタイトル選びなど)
第2・3時限 レッスン全体のパラグラフ毎の概要把握(生徒に予習を求めない)
    手順 1チャンクリーディング
       2内容把握のT・F(レッスン全体)
       3チャンクリーディング
       4内容把握のより詳細な問題(パートごと)
       5シャドーイング
第3・4時限 細部にわたる内容理解(生徒に予習をさせておく)
第5・6時限 様々な音読などによる言語材料の内在化
第7時限   英文のリプロダクション(インタビュー、プレゼンテーション、同時通訳活動など)
第8時限   コミュニケーション活動(ディスカッション、ディベートなど)

○ラウンド制による授業モデルの利点
(1)第1時限では必要最小限の語彙のみ意味の確認をして、初見の英文に対する内容理解をさせるので、未知の語句を含む英文に対しての抵抗を軽減することができ、実践的な読解力を伸ばすことができる。
(2)レッスン全体を扱うことが多いので、繰り返し英文に触れることができ、言語材料の内在化を促進することができる。
(3)トップダウン式に英文を読ませるので、メッセージを捉える力や情報を収集する力を伸ばすことができる。

○ 授業を実施する上で留意したこと
(1)授業を極力英語で行う。ただし、文法の説明などは日本語で行う。
(2)英文を読むときは、チャンクで区切って朗読するが、ポーズは入れても全体のスピードを落として読むことは避ける。
(3)内容理解の過程において、未知の語彙は難解なものから順に少しずつ説明し、内容理解の助けとさせ、一度に多数の未知語を説明することを避ける。
(4)内容理解には授業者の朗読を聞かせ、読解のペースをコントロールする。
(5)ペアワークやグループワークを取り入れて、生徒間で英語を使うチャンスを増やす。
■到達目標
1 チャンクリーディングを初見から行うことで、内容理解が容易になる。
2 タイトル選び、T・F問題、詳細に関する問題、と段階を踏んだ内容理解を行うので、英文に対する抵抗がなくなり、理解が進む。
3 未知の語彙がある状態で、何度も読む機会を与えるので、初見で英文を読むことに抵抗がなくなる。
4 英語での内容理解を行うことで、paraphraseして理解を深められる。
5 前ラウンドで知り得たもの利用して、次ラウンド以降も読んでいけるので、無理のない読解が進められる。
6 有機的にリプロダクションできる英語の量が増える。
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