特集 「多様化」する保護者にどう対応するか

東京都立新宿高校

◎「全員指導者たれ」を教育方針とし、課題に正面から向かい合うリーダーとしての資質を育成する。習熟度別授業や年間1,900時間の補習・補講の実施、夜8時までの自習室開放など手厚い指導に定評がある。

設立●高校:1921(大正10)年

形態●高校:全日制・単位制/普通科/共学

生徒数(1学年)●高校:約320名

07年度進路実績●国公立大には、一橋大、北海道大、筑波大、東京学芸大、千葉大、東京農工大など42名が合格。私立大には、早稲田大、慶應義塾大、上智大、東京理科大に75名、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大に187名など、延べ821名が合格

住所●東京都新宿区内藤町11-4

TEL●03-3354-7411

WEB PAGE●http://www.
shinjuku-h.metro.tokyo.jp/


木村知博

▲東京都立新宿高校主幹

木村知博

Kimura Tomohiro

教師歴26年目。同校赴任歴11年目。前3学年進路担当。「生徒が本来持つ力を発揮できるよう援助したい」

松原 真

▲東京都立新宿高校主幹

松原 真

Matsubara Makoto

教師歴24年目。同校赴任歴6年目。前3学年主任。「本校に来て良かったと思ってもらえる学校にしたい」

鎌田邦広

▲東京都立新宿高校主幹

鎌田邦広

Kamada Kunihiro

教師歴20年目。同校赴任歴8年目。進路指導部主任。「笑顔で卒業できるよう、精一杯やりきってほしい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 13/18 前ページ  次ページ

【実践と課題・5】

東京都立新宿高校

進路情報の充実と保護者の横の連携で学校の求心力を高める

都市部では塾や予備校など学校外の教育機会が多くあるため、学校の求心力を保つことが難しい。東京都立新宿高校では、塾や予備校とは違う角度からの情報提供と、保護者同士のコミュニケーションの場を設けることで、学校と保護者との一体感を醸成している。

関心の高い保護者の要望で保護者会を充実

 新宿高校が、保護者対象の取り組みを強化し始めたのは3年ほど前だ。多くの学校が保護者との接点を探しあぐねる中、同校はむしろ保護者の要望に押される形で、質・量共に保護者会の充実を図ってきた。
 同校は、2003年度に進学重視型単位制に移行。更に同年の学区撤廃により、都内全域からより高い意欲を持つ生徒が集まるようになった。保護者の期待も高く、保護者会の出席率も3年間を通して65~84%だ。
 もちろん、一朝一夕に保護者の関心が高まったわけではない。進路指導部主任の鎌田邦広先生は、「『進路は補欠なき団体戦』というのが本校の進路指導のモットー。志望の実現には学校、生徒、保護者が一丸となることが必要であり、保護者を積極的に学校の取り組みに巻き込んでいくことが大切だと考えています」と話す。
 06年度に3年生の保護者会を年2回から3回に、07年度は1年生の保護者会を年3回から4回に増やしたのも、保護者のニーズに応えたものだ。内容面では、年1回は外部講師を招いて入試講演会を行うなどの工夫をしている。
 同校が最も工夫するのは、保護者会で配付する資料の「質」だ。自校の模試成績や学習時間のデータだけでなく、全国平均や進路動向などのデータも盛り込み、現状を多角的に浮き彫りにして伝えている。木村知博先生は、「塾や予備校では提供できない豊富なデータや資料は、本校の強みの一つ。学校に来れば必ず役に立つ情報が手に入るという期待が、保護者会の出席率の高さにつながっています」と胸を張る。
 松原真先生は、「単位制への移行以来、補習の充実ときめ細かい個人面談によって、『大学入試は学校で十分』という指導を徹底してきました。更に塾や予備校を凌駕する質・量の情報を提供することで、学校への求心力を高めていると思います」と話す。

保護者の傾向

  PAGE 13/18 前ページ 次ページ