KSCが発足したきっかけは、完全学校週5日制の導入だった。
「それまでは少なくとも土曜日は学校で生徒を指導していましたが、休日になるとそれも難しくなります。特に部活動をどう維持するのかは大きな課題でした。有意義な週末を過ごさせるために、新しい受け皿が必要だという思いがありました」(岩田誉志雄校長)
地域も同じ課題を感じていた。PTAの代表の1人として、クラブの発足にかかわった水野謙司さんは次のように話す。
「土曜日が休みになることで、子どもの活動に先生の目が届かなくなることが心配でした。地域も一緒になって子どもを見守る仕組みをつくらなければならないと考えました」
そんな折、多治見市は文部科学省の推進する「総合型地域スポーツクラブ」のモデル地区の指定を受けた。部活動を活性化させ、スポーツを軸に地域全体で子どもを育てる仕組みができないか…。ここに、学校と保護者、行政の思いが一致し、KSCは発足した。
KSCには、中学生を中心とする「ジュニアクラブ」と地域の人が自由に参加できる「ふれあいクラブ」がある(図)。クラブの核は、中学生を中心とするジュニアクラブ。軟式野球やサッカーなどの16のクラブは、すべて同校の部活動を母体として立ち上げられた。通常、総合型地域スポーツクラブでは、部活動とは関係なく、あらかじめ複数のクラブを立ち上げてから参加者を募集するのが一般的だ。クラブと部活動の種目が違ったり、活動時間がずれたりすることは珍しくない。
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