中学校の現場から 地域連携


岐阜県 多治見市立小泉中学校

岐阜県の南端に位置する多治見市に1948年開校。2003年に文部科学省の「総合型地域スポーツクラブ育成推進事業」の指定を受け、 部活動を母体としたスポーツクラブを地域と共に運営している。

生徒数 ● 497名
学級数 ● 15学級(うち特別支援学級1)

WEB PAGE●http://www2.city.tajimi.
gifu.jp/‾koizm/


※同校の取り組みは『VIEW21』中学版2007年7月号(指導変革の軌跡)で詳しく紹介しています。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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中学校の現場から

生徒の履歴をつかみ、今の指導につなげる

地域連携

岐阜県 多治見市立小泉中学校

スポーツクラブと部活動の連携で地域とのつながりを強化

 地域との連携を強めることは、高校にとっても重要な取り組みの一つとなっている。生徒が、教師や保護者ではない大人や世代の異なる人との交流を通して、社会と接する良い機会となるからだ。
 岐阜県多治見市立小泉中学校は、地域が主体となって運営する総合型地域スポーツクラブ「こいずみ総合クラブ(KSC)」を部活動と連携させ、スポーツを軸に地域全体で子どもを育てていこうとしている。校長、PTA会長、各部活の保護者代表が、2002年度からクラブ設置の検討を始め、1年かけて制度規約や保険の手続き、施設の利用など具体的な運営方法を話し合い、03年に発足したKSCの活動を紹介する。

学校週5日制の導入で週末の過ごし方が課題に

 KSCが発足したきっかけは、完全学校週5日制の導入だった。
 「それまでは少なくとも土曜日は学校で生徒を指導していましたが、休日になるとそれも難しくなります。特に部活動をどう維持するのかは大きな課題でした。有意義な週末を過ごさせるために、新しい受け皿が必要だという思いがありました」(岩田誉志雄校長)
 地域も同じ課題を感じていた。PTAの代表の1人として、クラブの発足にかかわった水野謙司さんは次のように話す。
 「土曜日が休みになることで、子どもの活動に先生の目が届かなくなることが心配でした。地域も一緒になって子どもを見守る仕組みをつくらなければならないと考えました」
 そんな折、多治見市は文部科学省の推進する「総合型地域スポーツクラブ」のモデル地区の指定を受けた。部活動を活性化させ、スポーツを軸に地域全体で子どもを育てる仕組みができないか…。ここに、学校と保護者、行政の思いが一致し、KSCは発足した。
 KSCには、中学生を中心とする「ジュニアクラブ」と地域の人が自由に参加できる「ふれあいクラブ」がある()。クラブの核は、中学生を中心とするジュニアクラブ。軟式野球やサッカーなどの16のクラブは、すべて同校の部活動を母体として立ち上げられた。通常、総合型地域スポーツクラブでは、部活動とは関係なく、あらかじめ複数のクラブを立ち上げてから参加者を募集するのが一般的だ。クラブと部活動の種目が違ったり、活動時間がずれたりすることは珍しくない。

図

 しかし、KSCはそうした方法を採らず、原則的に中学校の部活動と同じ種目のクラブを設置し、17時までは部活動、それ以降はクラブでの活動という形で連続させた。実際、多治見市では03年度から、生徒がクラブにスムーズに移行できるよう17時以降は原則的に部活動が禁止となった。
 クラブへの加入はあくまで生徒の意思に任され、種目も自由に選べるが、実際にはほとんどの生徒が部活動と同じ種目のクラブに加入する。加入率は、06年度11月時点で1年生74%、2年生70%、3年生51%だ。実施日はクラブによって異なるが、平日は週2、3日、土日は全クラブが活動する。大半のクラブが学校の施設を利用するため、部活動からクラブへの切り替えもスムーズだ。
 「ジュニアクラブ」は中学生であればだれでも、クラブによっては小学生も参加できる。例えば、柔道には、07年度は他校から1名、小学生5名が参加している。他校の生徒と切磋琢磨したり、同校の生徒が小学生を指導したりと、通常の部活動だけでは得られない経験ができる場にもなっている。


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