教科指導最前線・化学

篠山秀志

栃木県立佐野高校
篠山秀志

Shinoyama Hideshi
教職歴24年目。同校に赴任して9年目。学習指導部長。理科担当。「将来を見据え、今の自分が磨ける生徒を育てたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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教科指導最前線

化学

科学的リテラシー獲得の前提として基礎的な知識・理解の土台をつくり直す

考える道具がなければ、「考えろ」と言っても無駄――。
科学的リテラシーの低下の背景には、基礎的な知識・理解の不足があると考えた栃木県立佐野高校の篠山秀志先生は、「教え込み」を取り入れながら学力の土台づくりに力を注ぐ。
「考える力」の獲得につなげる授業の内容とは何かを紹介する。

科学的リテラシーの前提は基礎的な土台づくり

 PISA調査の結果などから、生徒の科学的リテラシーの低下が問題視されている。佐野高校の篠山秀志先生も、近年の生徒の実態から、その懸念を強めている。
 「確かに『考える力』を中心に科学的リテラシーと呼ばれる学力の低下は否めないと感じています。これは、土台である基礎的な知識・理解の不足が最大の要因だと、私は捉えています」
 「考える道具を持たないのに、『考えろ』と言われているのに等しい」と指摘した上で、要因の一つとして前回の学習指導要領の改訂に伴い、中学校の理科の学習内容が大きく削減されたことを挙げる。
 「中学校の教科書をよく読んだことのない高校教師は多いはず。私が見直したところ、以前は『理解していて当たり前』と考えられていた内容がいろいろ削られていました。そのため、中学校の理科との間に段差が生じているのではないでしょうか」
 篠山先生は、基礎的な知識・理解を中心に、中学校の学習内容を見直してスムーズな接続を図る。基礎的な学習に際し、篠山先生が重要視するのが「教え込み」による指導だ。
 「近年、『できるだけ、日常生活に結び付けて教えるべき』という傾向があります。その考え方には賛同しますが、いわゆる教え込みによって覚えさせるのが効率的な内容があるのも事実です。元素記号など一部の内容は、小テストや発問によって繰り返し答えさせることで、しっかりと習得させています」
 その際の指針になるのが独自のシラバスだ()。一般的なシラバスでは、学習方法や理念的な内容が多い傾向がある。しかし、篠山先生のシラバスではそれらを削ぎ落とし、「授業を受けたら何ができるようになるか」という点に絞り、到達度目標を定めている。そして、「AとBができるようになればCもできるようになる」といった学習の流れを見極め、単元ごとの到達度目標の相互関係の整理にも配慮している。
図

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