特集 「自立する高校生」をどう育てるのか
三堂和生

▲広島県立安西高校

三堂和生

Mido Kazuo

教職歴33年。同校に赴任して5年目。進路指導主事。「脳に汗かく学習で、考える楽しさを生徒に教えたい」

田中真二

▲広島県立安西高校

田中真二

Tanaka Shinji

教職歴28年。同校に赴任して6年目。2学年主任。「学ぶ楽しさを知り、高い目標に挑戦させたい」

川口達也

▲広島県立安西高校

川口達也

Kawaguchi Tatsuya

教職歴22年。同校に赴任して5年目。教務主任。「教師も生徒に育てられるという雰囲気を大切にしたい」

清水初美

▲広島県立安西高校

清水初美

Shimizu Hatsumi

教職歴20年。同校に赴任して2年目。生徒指導部。「自ら考え、自ら行動できる生徒を育てていきたい」

近藤和喜

▲広島県立安西高校

近藤和喜

Kondo Kazuyoshi
教職歴11年。同校に赴任して5年目。特別活動部長。「さまざまな経験から、望ましい人間関係を学んでほしい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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学校らしい活力を取り戻したい

 「安西高校進化論」――2006年度に才木校長が主導して策定した「学校経営改革推進基本計画」の通称だ。同校では、学年の約半数が退学していた時期もあったが、きめ細かな生徒指導により、才木校長が赴任した06年度当時には落ち着きを取り戻しつつあった。ただ、学校らしい活力に欠けると才木校長は感じた。
 「土日に学校に来てもだれもいない。放課後、生徒は一目散に帰っていく。グラウンドには雑草が青々と茂っている……。どれも非常に残念な光景でした。卒業生や保護者も含めて、もう一度、皆の目と気持ちを学校に向ける必要を感じました」
 特別活動部長の近藤和喜先生は、当時の生徒の印象を次のように話す。
 「勉強、部活動、いずれに対しても無気力な生徒が多い印象がありました。勉強してわかった、部活で勝ったという経験がほとんどないために、勉強しても無駄、部活動で頑張ってもしようがないという意識が強かったのだと思います」
 「安西高校進化論」のベースは、他人や社会から認めてもらいたいという欲求が満たされることで、自己実現に向かう姿勢が生まれるという、マズローの仮説である。授業、部活動、校内行事など学校のあらゆる場面で、支え合い、認め合う仕組みをつくることで、自立を促し高い志を育むことがねらいだ(図1)。学校の内外から意見を募り、同校の強みや弱み、現状の課題などを分析、同校が目指す方向を定め、取り組むべき方策を体系化した。
図1
 「学校を休もうかと迷っているときに、自分を待ってくれている仲間がいると思えば、学校に自然と足が向きます。一緒に練習しようという仲間がいれば、部活動にも力が入るでしょう。自分が認められている、受け入れられていると感じられれば、安心して前に進む勇気が生まれます。学校教育のあらゆる場面で、自分が必要とされている居場所があると、生徒が感じられる仕組みを提供したいと考えました」と、才木校長は話す。
 部活動の活性化を図るために、06年度に体験入部制度を取り入れ、翌年には全員登録制を導入した。更に、仲間意識と学校への帰属意識を高めるために学校行事を概ね月1回は設けるようにした。改革に先立って、一連の取り組みを紹介するビデオを制作。教師が近隣の中学校を分担して訪問し、生まれ変わろうとしている安西高校の姿をアピールした。

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