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授業研究を毎月実施し、指導の質を高める |
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もちろん、ただ机の配置を整えただけで、生徒の「学び合い」が成立するわけではない。グループにするタイミングや切り上げ方、活発にさせる課題の選び方、生徒の主体的な参加を促す声かけ、想定外の展開になったときの対応など、教師が生徒をリードする技術を持たなければ、思うような成果は得られない。
教師は試行錯誤の連続だ。生徒指導部の清水初美先生は、「なかなか生徒から意見が出ないと、もどかしくてつい答えを教えてしまうこともあります。でも、生徒を主体的に参加させるには、待つことが大切です。そして、まず生徒が率直に意見を言い合えるような雰囲気をつくることも大切。そのためには私自身、普段から生徒とコミュニケーションを取る必要性を感じています」
現在、同校では指導技術を向上させるため、校内授業研究会を毎月開催、ほかに年2回の公開授業研究会を実施して、校外の教師と交流を図っている。他教科の教師も授業研究に参加し、全員が授業の感想を言い合うので、教科の専門的な指導技術だけでなく、教科の枠を超えた議論になることも多い。
グループ学習を導入した当初は、授業の進度が遅れるのではないかとの懸念があった。しかし、研修を重ねる中で、それは解決できるとわかってきた。
「重要事項をたくさん話しているように見えても、実は何度も同じことを繰り返し話していたり、まわりくどく説明したりしている場合も少なくありません。内容によっては、要点を簡潔にまとめたプリントを使ってグループで作業させる方が、効率がよいこともあります」(才木校長)
田中先生は、「学習内容の定着という面から見ると、生徒の発言の機会が多い分、むしろグループ学習の方が効果的」と指摘する。
「知識を定着させる最良の方法の一つは、口に出してみること。中途半端に理解していることも、人に説明することで間違いに気づいたり、より深く理解できるようになったりします。つまずいていた生徒も、グループで話し合うことで、どこがわからないのかが明らかになり、それをきっかけにしてつまずきを解消できます」
グループにすることによって、私語が増えて規律が保てなくなるのではないかという心配もあった。
「長時間、グループ活動をさせたり、易しい課題を与えたりすると、早く終わったグループから私語が始まることはあります。ただ、生徒のレベルに合った課題を出し、課題が終わったらタイミングよく『コの字』に戻せば、雰囲気が緩むことはありません」(川口先生)
経験を重ねる中で、教師も徐々に手応えを感じ始めているようだ。 |
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