「生徒の学習意欲が低くなっている」と、高校現場でよく聞かれるが、中学生の学習意欲も変化しているのだろうか。ベネッセ教育研究開発センターが中学2年生を対象に行った「第4回学習基本調査」の結果を見てみる。 図1~3は、中学生の学力に対する考え方の変化を、成績の自己評価別に分析したものだ。どの項目についても、「あてはまる」と回答すれば、学力に対する意識が低いといえる。
「将来ふつうに生活するのに困らないくらいの学力があればいい」の回答率は、1990年から一貫して高い(図1)。「どこかの高校や大学・短大に入れる学力があればいい」は、1996年にいったん減少したが、その後は増えている(図2)。特に、成績中・下位層の伸びが顕著で、学力にこだわらない様子がうかがえる。また、「学校生活が楽しければ、成績にはこだわらない」では、成績上・中位層では2001年以降、減少傾向にあるのに対し、成績下位層は横ばいだ(図3)。
成績下位層は3項目すべてで「あてはまる」の回答率が最も高い。また、成績中位層の回答は下位層とほぼ同様に推移しており、成績中・下位層の生徒に「勉強はそこそこできればよい」という意識が強まっているという結果となった。 「成績中・下位層の生徒の学習意欲の低下は深刻」という声は、中学校現場でもよく聞かれる。中学校でも高校と同様、いかに生徒の意欲を向上させていくかが大きな課題の1つのようだ。