特集 つなぐ教師の教科指導力
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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模試分析会で進む教師の意識改革

 こうした授業改善の積み重ねにより、教科指導力は確実に向上している。進路指導部長の長谷部秀俊先生は、次のように話す。
 「採点や作問に直接かかわらない外部模試を分析することによって、教師の作問力が高まり、良問・悪問の見分け方がわかってきます。そうした力が付けば、生徒にこういう答案を書かせてはよくないということもわかるようになります。定期考査や校内実力テストでは教科ごとに検討会を開き、時間をかけて問題作成をしていますが、模試分析会はこれらのテストの質の向上にも貢献しています」
 模試分析会の導入による最大の変化は、教師の意識改革が進んだことだ。以前は、生徒に「頑張れ」とただ言うだけだった。今では、模試分析会後すぐに、学年の教科の教師が集まり、今後の指導について話し合ったり、臨時に補習を行ったりしている。生徒を集めて臨時に学年集会が開かれることもあるという。教師が模試答案から課題を発見し、それまでの指導を反省して、次の目標設定や具体的な指導に役立てるというPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルが定着しつつあるといえるだろう。
 例えば、3年生数学の分析を担当する橋本嘉和先生は、次のような体験をした。模試分析会実施初年度の9月、数学の7月模試の成績が例年以上に落ち込んでいたことが判明した。模試分析会ではとにかく成績を上げよと、校長はじめベテラン教師からげきを飛ばされた。そこで急きょ、放課後の課外授業のあとに、更に数学の特別授業を実施。その結果、成績下位層の底上げができ、全体の成績も持ち直せたのだ。
 「以前の本校でしたら、周囲の言葉を受けてこういった行動を起こすようなことはありませんでした。しかし、模試分析会での話し合いによって、数学科として意思統一ができたばかりか、他教科に気兼ねすることなく、新たに課外授業を行うことができました」と、橋本先生は振り返る。

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