データで見る中学校 「生徒間の学力格差」の拡大を約7割の教師が認識
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データで見る中学校 vol.6

「生徒間の学力格差」の拡大を約7割の教師が認識

ベネッセ教育研究開発センター「第4回学習指導基本調査」より

「やる気や自信を持つ生徒」の減少を感じる教師

 ここ数年で、生徒の意識や行動に変化は見られるのか。中学校教師に対して尋ねた14項目のうち、特徴の見られる6項目を抜粋した()。
 「やる気や自信を持っている生徒」が「減った」と答えた教師は、2002年調査の36.1%から07年調査では43.0%と、7ポイント増えた。また、生徒の積極性を表すような項目である「リーダーシップのとれる生徒」と「自己表現力の高い生徒」も「減った」と回答した教師が増えた。中学校教師の目から見て、やる気や自信を失い、消極的な生徒が増えているようだ。
 また、「受け身的な生徒」は「増えた」との回答が02年調査、07年調査共に5割以上あった。いかに主体的な生徒を育てていくかは、中学校でも高校同様に大きな課題のようだ。

図

一人ひとりの意識を把握し個別指導に生かしたい

 「生徒集団の学力水準」は、02年調査、07年調査共に変化がなく、「低くなった」の回答がいずれも5割強と多い。一方、「生徒間の学力格差」では、「大きくなった」と回答した割合が、02年調査の58.8%から07年調査では68.7%と10ポイント程度増加し、約7割の教師が学力格差の拡大を認識している。学力水準への認識があまり変わらないのに対して、生徒の間で学力格差が拡大したという認識が広がっている。
 「やる気や自信を持っている生徒」が「減った」という回答の増加と併せて考えると、高校では、取り組みを行う際に、生徒一人ひとりの意識をしっかり把握することも大切だ。生徒個別への言葉かけなど、きめ細かな指導によって生徒の意欲を高め、取り組みをより効果的なものとしたい。

出典◎『第4回学習指導基本調査』/調査時期◎02年調査:2002年9~10月、07年調査:07年8~9月実施/調査方法◎07年調査:郵送法による質問紙調査、02年調査:学校通しによる質問紙調査/調査対象◎公立中学校の教員02年調査:3,388名、07年調査:2,109名/抽出方法◎02年調査:北海道・岩手県・宮城県・新潟県・石川県・群馬県・東京都・山梨県・愛知県・大阪府・兵庫県・岡山県・福岡県・熊本県、07年調査:全国の公立中学校のリストより、都道府県の教員数に応じた抽出確率で無作為に学校を抽出。*国語・社会・数学・理科・外国語のいずれかを担当している教員を抽出して分析した

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