調査データから探る指導のヒント 約24%の学生が中学時代までに大学進学を意識
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調査データから探る指導のヒント vol.1

約24%の学生が中学時代までに大学進学を意識

ベネッセ教育研究開発センター「大学生の学習・生活実態調査報告書」より

中学時代の進路学習歴の把握がより一層大切に

図

出典◎『大学生の学習・生活実態調査報告書』/
調査時期◎2008年10月/調査方法◎インターネット調査/
調査対象◎18~24歳の大学1~4年生(ただし、留学生、社会人経験者を除く)/
有効回答数◎4,070名 ※( )内はサンプル数

 は、大学1~4年生に大学進学を意識し始めた時期を尋ねた結果だ。「高校2年生の頃」が最も多く、次いで「高校3年生の頃」「高校1年生の頃」が続く。
 注目は、「中学生以前」「中学生の頃」に大学進学を意識し始めた学生が、合わせて23.6%いたことだ
。高校入学時点で4、5人に1人の生徒が大学進学を意識していることになる。この結果を見た高校教師からは、「中学時代までに進路を考えている生徒が予想以上に多い。高校での進路学習が中学校の『総合的な学習の時間』と重複し、物足りなく感じている生徒もいるのではないか」という声があった。
 事実、中学校ではキャリア教育に力を入れている。特に、文部科学省は「キャリア・スタート・ウィーク」として5日間以上の職場体験を推奨している。国立教育政策研究所の調査では、公立中学校での職場体験の実施率(2007年度)は95.8%だ。ただ、活動内容や日数はさまざまで、同じ学区内でも中学校が違えば体験内容は一人ひとり異なるといってよい。
 学部系統別に見ると、「教育」「保健その他(医・歯・薬学部などを含む)」では「中学生以前」から「高校1年生の頃」までに5割以上が大学進学を意識し始めていた。この2つの学部系統は希望する職業と具体的な学部が結び付けやすいこともあり、大学進学への意識につながっていると考えられる。

 「入学時に大学進学を意識している生徒は意欲が高く、ほかの生徒を刺激し、学年全体を牽引する存在にもなる」という高校現場の声も多い。一方、「職業観が凝り固まっていたり、保護者らの影響を受けていたりする場合には、気を付ける必要がある」という意見もある。つまり、生徒の進路意識がどのような経緯で形成されたものなのか、どの程度検討したものなのかを見極める必要がある。公立中学校のキャリア教育も多様となった今、高校入学時に生徒一人ひとりと面談をするなどして、中学校までの進路学習歴や進路意識を把握し、教師間で共有することが重要だ。

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