特集 「大学入試分析」を生かす

愛知県立刈谷高校

◎「質実剛健」を校訓として、飾りけがなく、まじめで、心身共に強くたくましい人材の育成を目指す。生徒・保護者・職員が一体となっての進路指導の体制を確立。部活動も盛んで、特に「赤ダスキ」のサッカー部は全国大会に何度も出場し、その名を全国に知られている。

設立●高校:1919(大正8)年

形態●全日制/普通科/共学

生徒数(1学年)●360名

09年度入試合格実績(現浪計)●国公立大は、東京大20人、名古屋大68人、京都大10人、大阪大12人など計275人が合格。私立大は、慶應義塾大、早稲田大、南山大などに延べ568人が合格。

住所●〒448-8504 愛知県刈谷市寿町5-101

TEL●0566-21-3171

WEB PAGE●http://www.
kariya-h.aichi-c.ed.jp/

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【学校事例2】愛知県立刈谷高校

生徒向け「大学入試問題研究」を通し、
教師の教科指導力を高める

「東大入試研究会」「スプリングセミナー」など、生徒への早期の意識付けと入試を意識した授業で、
高い進学実績を上げ続けている愛知県立刈谷高校。
一連の取り組みは、教師の教科指導力、入試問題分析力の向上に結び付いている。

入試対策を通して教師の指導力を高める

 愛知県立刈谷高校は、例年7割前後が国公立大に合格する県内屈指の進学校だ。2009年度入試では、東京大合格者が現役・浪人合わせて20人と、過去最高の実績となった。国公立大を意識させる進路指導を徹底した結果、最終的に志望校を下げたり、私立大に流れたりする生徒がほとんどいなかったことが背景にある。
 難関大合格に向けた徹底的な個別学力試験対策が、着実に成果を上げたことも大きい。「なすべきことにきちんと取り組んでいれば、おのずと成果は出ます」と、進路指導主事の神谷久先生は言う。そして、この対策こそが、高い実績を支え、同時に教師の指導力向上にも結び付いている。入試対策を通して、同校の教師がいかに教科指導力の向上を図っているかを見ていく。
 入試対策の最初の山場は、2年生の2学期に希望者生徒を対象として実施する「東大入試研究会」及び3学期に2年生全員を対象に実施する「名古屋大入試研究会」だ。同校では2年生の2学期を「受験生への切り替え・進路選択」の重要な時期ととらえており、入試研究会もその取り組みの一環だ。両大学の入試問題の内容や出題傾向、授業への心構えや必要な教材など、教科ごとに入試のアウトラインを概説する。
 この時、教科の代表者1人が講義をするのだが、次年度に同校で初めて3年生担任となる教師がいれば、ほぼ必ずこの役を割り当てられる。担当者は入試研究会の2週間くらい前から、過去問などの参考資料を読み、実際に問題を解きながら大枠をつかむ。その上で、入試問題の要求学力や指導のポイントをベテラン教師や3年生担任経験者に確認し、ノウハウや受験指導に対する考え方を共有する。
 「いずれ3年生の担任になれば、難関大受験に向けた指導をせざるを得ません。生徒だけでなく、教師もできるだけ早く東京大・名古屋大の入試問題に触れておく必要があるのです」と、神谷先生は説明する。

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